EP59
なんなんだよ、と思った。正直、頭がおかしな社長だぜとも。求人の面接に来たぺーぺーに、逆に訊くってどういうことだ? ありえんだろ!(若干怒)
けれど。
赤字かよ。
「そんな赤字なんて会社、こっちから願い下げだぜ」
思ったことを口にした。
「だって、赤字じゃ俺らの給料も出ないんじゃねーか。そんな会社、いつか潰れちまうしな」
「だよね」
と、先代社長が弱々しく笑う。
「今ね、起死回生を狙って、和菓子から洋菓子に方針転換してるんだ。だから、まあ泥舟っていうか、潰れない保証もないし、正直うちの会社、安定してないから、お勧めできないんだよね」
「えええーー社長のあんたがそんな弱気でどーすんだよっ!!」
「うん」
「アタマが腐っちまったら、ついていく舎弟も腐っちまうじゃねーか。会社も同じだろ? あんたがシャキッとしねえと、会社もシャキッとならねえぞ」
「そうだね、ありがとう」
なんかこの辺で、俺、何言ってんだ? ってなって。ただ、こんな風に社長に物申しちまったから、もう不採用間違いなしだと確信し、「じゃあな」と言って俺はカバンを引っ掴み、部屋を出ようとした。
そこで。
「キミはどうして働こうとしてるの?」
背中に言葉を掛けられた。
振り返り、「金だよ」と言う。
「散々迷惑かけたオカンが、難病のなんとかつー病気になっちまってよ……それで金が必要になった。高卒じゃどこも雇ってくれねえってこと、理解したわ。もう肉体労働でも何でもいい。とにかく稼がねーとな」
「採用」
???




