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EP53
「いや、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど」
褒められて少し気恥ずかしい。俺もハイボールをぐびっと喉に流し込んだ。タコの唐揚げをひとつ、口へと放る。
「って社長が言ってたよ〜」
タコが喉に詰まりそうになる。
「んぐっ、え? へ? 社長が?」
「うん。千夏さん、すっげー見てると思うよ。いげちゃんの頑張り。この間、業務について打ち合わせした時に、そう言ってたもん。秘書のスペシャリストだと思いますって。あと何て言ってたかな……」
俺はごくりと唾を飲んだ。
秘書のスペシャリストとは嬉しいじゃないか。なかなか正当な評価をしてくれているなと思うと、胃の奥やら底やらから、じわりと生温かいものが上がってきた。
いや、吐き気とかそういうのじゃなくて!
佐久間っちが、思い出したかのように両手でガッテンした。
「思い出した! いげちゃんのこと、こうも言ってた! スケジュール管理も完璧、社員のフォローも忘れない、秘書の鏡! シゴデキの海鮮丼、才能の宝石箱や〜〜ってね」
「……うーんちょっと何言ってるのか微妙……ってかそれ喜んでいいやつ?」
佐久間っちは、半笑いでお猪口を口につけながら、「ふふ、社長の目には、僕たちはどんなキャラに写ってんのかね」
「……あいつの脳内見てみてぇ」
ぐいっとグラスをあおって、ハイボールを飲み切った。




