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毒舌秘書は社長の私を放っておけない。  作者: 三千
母、そして会長千堂都の手腕
52/146

EP52


「いげちゃん、もしかすると、もしかするかもよ」

佐久間っちが神妙な面持ちで、事の次第を話してくれた。

「へえ、そうだったんですか。あの山路社長がよく顔を縦に振りましたね。会長、いきなりすげーな。で? 佐久間っちもそう思うわけですね」

「あ? いげちゃんも?」

「はい。まあ想像よりは上をいってます」

居酒屋「なんでやねん」で二人、向かい合いポソポソと話し込んでいる。

大学出たばかりの小娘と、ずっとこのかた専業主婦を貫いてきて、働いたこと皆無な中年女性に何が出来るんだ! とブリブリしていた自分が恥ずかしい。

ただただ、千夏社長と都会長は、頑張っている。多少の我が道をゆくなマイペースさには目をつぶるとして。

「なんか二人のこと勘違いしてたかもね〜」

「でもまあ就任当初は、評価底辺だったんですから、それよりは良いってことで。ってかあのカワウソ、他の販売店でも店内の壁ぶち抜いてカフェコーナー作ったり、凸って試食会やったりしてますからね」

「うん。聞いてる」

「さすがにあいつ、勝手にやり過ぎなんじゃ……」

俺がそう言うと、佐久間っちはエイヒレをくわえながら、冷酒をぐびりと飲んだ。

「いげちゃん聞いてよ! それがさあ……」

やはり、佐久間っちのフラストレーションも溜まってそうだな。あそこまで相談なく勝手にやられちゃ、ムカつくに決まってる、そう思ったのに??

「社長も会長もちやーんと色々報告してくるわけよ」

「事後報告でしょ?」

「いやあ、ちゃんと事前にね。ホウレンソウも完璧なのよ」

「な!? そうなんですか? でも俺には何も……」

「まあいげちゃんは秘書だからねえ。それにしてもいげちゃんはさ。社長代わっても、相変わらず秘書の仕事、完璧じゃない」


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