EP5
「というわけで、社長に就任しました千堂千夏でございます。右も左もわからないペーペーぺーではございますが、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いします」
本社社員に向けて、オンラインでご挨拶。母も同様にPCに向かってペコペコしている。
いきなりこんなうら若き乙女、いやごめん、こんなぺーぺーの若造が社長だなんて?
受け入れられない人もいるだろうな。
けれど、その後副社長の佐久間さんがフォローというか、誠心誠意(?)全社員に向かって話してくれた。
「千夏さんは、亡き社長のお嬢さんですが、ただ今名門国立T大学に在籍中ですので、来春卒業されるまで、僕、佐久間が社長代理を務めさせていただきまーす。皆さん、若社長を支えて、千堂屋を盛り立てていきましょーー」
握り拳を振り上げる。
「文句や不満があったらずばんばしんと言ってください! 僕が喜んで受け止めます! はい喜んでー」
ドMか。
*
「はああ〜無事に挨拶が終わったね〜緊張した!」
私は温かい梅昆布茶を啜りながら、母に向かって話しかけた。in役員室。
「ね! まじで胸がドキドキだったあ」
「ママ、私、これから大学の卒論書かなきゃいけないし、単位も取らないと卒業できなくなるから、とりあえず来春までは仕事という仕事はできないから」