EP45
「ところで社長。こんな家電量販店に何用で?」
あ。忘れてた。
「えっとですね。社内放送ってのをやりたくってですね。ワイヤレスのスピーカーを買いに来たんです」
「あ。もしかして昨日会長がやってたアレですか?」
恥ずかしっ!
「そうです。さすがに電気切るとかないですよね〜会長が暴走しちゃってご迷惑をお掛けしました。あと、拡声器も迷惑極まりないですよね。ほんとすみません」
「いえ。でもまあ誰しも定時で帰りたいとは思ってるんですけどね。でも帰りたくないってヤツらもいますから」
「やっぱり強制的に定時で終了ってなると、反発くらいますかね?」
「残業代をアテにしてる人も……っとあわわ」
小山田氏、慌てて口をつぐんだ。
「あ、大丈夫ですよ。なるほど難しいですねえ」
これは給料の見直しもした方がいいのかもしれない。たぶん、残業ゼロにするならセットで考えないといけないような気がする。
「ところで、小山田さんは音響機器にお詳しいですか?」
私は、昔ビジュアル系バンドを組んでいたという小山田氏に、相談を持ち掛けた。
*
秘書を置き去りにする社長。これってアリなんか?
あまりにふつーにやってのける社長に、俺は当然のことながら辟易してきている。
(全然、相談してこねえし)
先代とはよく、二人で話し合いや打ち合わせを重ねていたし、秘書である自分の意見を取り入れてくれていた。
だが。あいつは。




