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EP42


「先代のそーいうとこ、僕もほんとに尊敬してましたよ〜」

「そうですか……でも父は家には全然居ない人だったから、どんな人だったのかは、娘の私でもあんまりわかってなく。母が専業主婦だったのも、頷けます。完全にワンオペでしたし……それに私、けっこう寂しかった記憶しかありませんよ」

「じゃあ尚更、先代と一緒に働きたかったですね〜〜。先代がお亡くなりになられなければ、千夏さんは何になりたかったんです?」

佐久間さんがジリジリと詰めてくる。ゆるふわな瞳で優しく核心を突いてくる佐久間さん。私は苦笑しながら、言った。

「……本当は学校の先生か保育士になりたかったんですよ。子どもが好きなんで」

「っ!? だから、女狐立花の娘のことを気にかけてたんだな」

井桁さんが私を見る。あのとんでもない日の余韻もあってか、ちょい睨み入りの目で見てくる〜冷たいしせ〜ん♪

「まあ、そんなとこです」

「ちなみに立花さんの件はどうなったんですか?」

私と井桁さんはお互いを見る。

「羽田町販売店でスタッフを募集してましたので、そちら紹介っていうか、打診してみたんですけど……」

「あの女狐、断りやがった。羽田町には独身男が居ねえんだとよ。他で探すってよ」

「パートではなく、社員でって話もしたんですけどね」

「え? 初耳だぞ!! 社長、あんたどこまで甘ちゃんなんだよ!!」

「まあまあ、いげちゃん、良いじゃないですか。結局は本人が話を蹴ったわけですからあ。結果オーライってことで。でもそうですか。今後は独身男性に全振りするつもりなわけでしょ? 娘さんにもこれで顔向けできるでしょうし。良かったじゃないですか」


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