表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/146

EP41


なんやかやで丸く収まった(?)フロアが静寂に包まれる。

母がまるで社内放送のように、拡声器持参で回ったからか、みなさん追い出されるように早々に帰宅。

「じゃ帰ります」

お疲れ様お先にねーと母はさっさと帰っていった。

台風のような女性だ。私はずっと母はお淑やかで大人しい人なのだと思っていた。私が知らない母の一面を見た気がして、目の覚める思いがしたのだ。

確かに父、先代の社長はあまり家には居なかった気がする。家族3人で出掛けた記憶もそんなにない。

ただ、外食だけはよく食べに出掛けていた。

家族との食事を大切にしていたのかもしれない。

その代わりライバル店の偵察にも連れて行かれた。食事をしてから必ず目新しいデザートを注文するのだ。

断面を見たり、味が良ければ、想像できる材料や作り方などをメモしたりと、ライバル心を含みつつ研究熱心だった。

「俺は面が割れているから、千夏が買ってきて」

千円札を握らされ、ひとり近所に新しくできた洋菓子店に行かされ爆買いしてきたことも。

「でもあのお店、3年くらいで潰れちゃったんだよね。けっこう美味しかったのに……」

その時に、自営業の経営の難しさや恐ろしさを知ったのだ。

「パパ、頑張ってたんだな……」

それは、副社長佐久間さんや秘書井桁さんが時折話す、逸話からも読み取れた。

「先代は、自社製品を置いて貰えるお店を、どうやってか見つけてくるんですよね。たぶん『足で稼ぐ』的な感じで、あちこち飛び込みしてたと思うんです」

「はあ?? 飛び込みですか?? そりゃ大変ですよね」

帰宅時間が遅くなるのも仕方がなかったんだな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ