EP40
*
そんなこんなで結局、定時で上がって、「一緒について行くわ!!」と、「どんな車でも買うわ!!」風に叫ぶ母と一緒に、本社の中を見て回ることにした。営業課のオフィスに近づいていく。
なかなか仕事の手を止めない社員たちにロックオン。
「ふうん。まだ皆さん帰りそうもないね」
「これが社畜ってやつかしら。だめよだめだめ。千夏ちゃん、うちはホワイトを通り越して透明企業を目指しましょうね」
スケルトンww
「もちろんだよ。時間になったら電気切っちゃおうかな。なーんて」
「あらあ、それ良いんじゃないかしら」
バチいっとスイッチOFF。
パパパパパパパパと電気が消えて、フロアが真っ暗になる。
「ちょ!! 会長っ!! 何やってくれてんのよっ!!」
ざわざわと、にわかに騒がしくなった。
「停電?」
「雷でも落ちた?」
「地震はなかったよね」
「嫌だ、真っ暗よ!!」
そしてまたパチっと電源ON。
パパパパパパパパと電気がついた。
え? ママ? その手に持っているのは? いつのまにか拡声器??
『はーーーい皆さーーーんお仕事終わりでーーーす帰りましょーーーーう」
そして、オフィスを回って、「さあカバン持って」「ほら電車に乗りますよ!」「ちゃんとパソコン切ってね」「私も早く帰ってごはん作らなきゃならないのよね」
ママあなたという人はいったい何者か……。
すると、隣にいつの間にか佐久間副社長が。
「僕がこんなこと言うのもなんですけどね〜会長はね、先代が家庭を顧みない仕事人だったから、ずっと寂しかったのよ〜と仰っていました」
「そうだったんですか」
「だから、社員の方々にはそれぞれ早くにご家庭に帰っていただきたい、と願ってこのような行動を」
「だがやり方!!」
と、ツッコむ。
佐久間さんがゆっくり振り返り、私を見る。
「確かにねー」
確かにww




