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毒舌秘書は社長の私を放っておけない。  作者: 三千
社長のお仕事開始です
35/146

EP35


それは大きな花束だった。

悟さんが、照れながらも、ずいっと渡してくる。

「俺たち、その……ちな、社長にはほんとお世話になったんで。たぶん新人さん連れてくるときに、あのコワモテ秘書か社長ご本人がいらっしゃるだろうって思って……これ」

「今まで通り千夏で大丈夫ですよ。それにしても……えええ! こんなご立派な花束、わ、私にですか?」

「はい!! 」

バサっと渡される。ピンクのバラの香りが鼻腔の奥へと導かれる。それはとても良い香りだった。

なんで?

「も、貰えませんよ、こんな豪華な……」

「最初から千夏さんにお渡ししようと思ってましたから! 貰ってくれないと」

「そうですか……では……遠慮なく。ありがとうございます。店長にもお礼をお伝えください」

すると。

「いや、えっとこれは俺からで……千夏さん、その……この前のイカつい秘書とは……付き合って……??」

真顔で問われ、私はすんっとなり、即答した。

は? なんだって?

「ないです」

悟さんは、ほうっと息をつき、胸を撫で下ろす仕草をした。

ん??

「恋人は??」

「いないです」

「彼氏は??」

「いないです」

「彼女は??」

「いないです」

「好きな人は??」

「……いないです」

つらっ! なんか泣けてくる。私の人生。恋愛とは無関係、そして遥か彼方、ここからずっと遠いところに存在する。つらっ!!

だがなぜそこまで追い詰める?

精神攻撃、我が社に恨みでもあるのかいっ。

「じゃあ、良かったら俺と付き合ってください!!」

「ん??………………はい⤴︎???」

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