EP29
そう言ったと同時に、窓をウィーンと全開にする。ぶわわわと強風が入ってきて、顔にぶつかる。
「ちょ! 風がっ」
「暑いなら暑いと言ってくださいよ」
「も、もう良いです。冷めた、冷めたからあ!!」
「面白い顔だな。もっとやってやる」
はははと大きな声で笑って、井桁さんはアクセルを踏んでスピードを上げた。
さっきの頭ぽんぽんはマボロシでしたか?
あーなるほど〜 \(( °ω° )) これペット扱いだわこれ。
「あと、明日からの仕事はクッソビシバシいくからな」
「了解でーす」
もうこのドSったらーわたくし社長ですけど?♪( ´θ`)
*
月曜日からの仕事はクッソ忙しかった。これも井桁さんのしごきがスゲくって、かなりハイスピードでやるべきことをご教授いただいてて、ランチの時間もそこそこしか取れない。
私は半分ブチギレながらも、
「もー井桁さーんお昼ご飯くらいゆっくり食べさせてください!」
と抵抗を試みる。
「なにぬるいこと言ってんですか! 午後からもアポざんまいですからね」
ポーズを作り、「スシざんまーい。ってかどこへ?」
「お得意先に挨拶して回るんですよ」
「回る? 回転? 回転ず、」
「もういいから早くメシ食ってこい」
「はい」
ドスの効いた声で脅される。午前の疲れがピークに。とりあえず、ランチを取るため、弁当を持ち役員室へ向かう。




