EP25
「……立花さん、キミがこんな人だとは思わなかったよ」
店長が重い空気を破って、そう言った。
「録音なんて人権侵害ぁい。店長助けてえ」
泣きついた。けれど。
「これはもうキミが悪いよね」
すると、女狐の目がさらに吊り上がり、
「なによ! みんなして私のことバカにして!! あーあもうちょっとで店長夫人だったのにい!! このお店だって私のものになったのに! あーあ! やってらんねえーー」
化けの皮が剥がれたと思ったのか、エプロンを脱いで、バシンと床に叩きつけた。
そしてズカズカと厨房へと入る。控え室からバタンっとロッカーのドアを叩きつける音がして、荷物を取りに行ったのだとわかる。
「まじか……」
私はエプロンを拾った。
そのエプロンからは香水の香りがほのかに香ってきたが、なるほどこのエプロンもまだ目新しい。
しーんと静まり返る中、バタバタと音がして、厨房から立花さんが飛び出してきた。
私は話しかけた。
「立花さん、待ってください。あなたの娘さん、ユウナちゃん、まだ小学生ですよね?」
立花さんが足を止め、振り向く。
「なんであんたが私の娘のこと知ってんの? ちっ! 店長にでも聞いたのね。だったらなんだって言うのよっっ」
「男の人に媚びを売るなとは言いません。でも、もしユウナちゃんが大人になって、既婚者と不倫するような子だったら……」
「ユウナはそんな子じゃないわよ!! あの子は優しくて真面目な子なんだから!! 父親が居なくたってね、私の自慢の娘なんだから!!」
私が次を言おうとして口を開けた瞬間に。
「だったら、そんな自慢の娘に顔向けできないことすんじゃねーよ!!」
井桁さんがドスの効いた声を上げた。
はおっ言おうとしたこと、先に言われた!! バシっとこの場で決めたかったのにぃーーー( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾