EP24
そうか。これが修羅場。(まだ不倫未遂だが修羅場は修羅場)
ふーん。うら若き私には、今までの人生、これっぽっちの経験もない。
ただ、ここで演技を忘れてはなるまい。
ミッションはまだ続く。ぶりっこの神よ、我に力を!
「ちょっと井桁くぅん! 立花さんと抱き合うだなんて、彼女の色気にグラッと来ちゃったんじゃないの!? ごまかさないでようっっ」
「はあ!? おま……なに言ってんだ!! そっちのオババが勝手に抱きついてきたっつーの」
「は!? オババですって!?」
女狐立花は細い目を吊り上げて怒り、大声で言い放つ。
「嘘ばっかり言うんじゃないわよ!! あんたから迫って来たんじゃない。男ってば、ほんとみんなスケベなんだからあ。ねー店長お」
「あ、あぁそうだぞ……き、キミ! 千夏ちゃんという彼女がありながら、立花さんを誘惑するなんて!」
よし。ここだ。井桁、やってやれ。
って、言うまでもなかった、ちょ、顔が恐い恐い! ブチギレとる!
「じゃあ、どっちが本当のこと言ってるのか、聞いてみようじゃねーか」
そして、持っていたスマホをかざす。
スイッチオン。
『いやあん、アナタめっちゃかっこいー。イケメーン♡ ねえねえ、千夏ちゃんより私の方がぁ。だんぜん可愛いでしょぉ?』
『はあ。あんた確かに美人だけど、千夏の方が可愛いよ』
……………え!? マジで? 演技? あそう?←ちょっと嬉しいやつ
『えーー。おねーさんとも遊ぼうよお。あたしぃ、二股でもぜんっぜんOKよ』
『俺は浮気はしねえ。千夏を愛してるからな』
……………え!? ちょいちょいちょーい! 鼻血出る!←興奮
『うわあ、すっごい良い体〜〜鍛えてるのお?』
『おい俺に触るんじゃねえ』
『いーじゃなーい。抱きついちゃおっと!! 胸板ぁキャッキャッ♡』
とここで録音の披露が終了。
しーん。
だよね。
こうなるよね。