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EP2
私は涙を拭いながら、生前の父の姿を思い出す。
そういえばいた。副社長に秘書。
ふわふわ〜にこにこ〜で得体の知れない佐久間副社長に、毒舌厳しすぎて誰もが一度は心を折られるという井桁秘書。
私はすぐさま現実に戻り、母に泣きついた。
「ママ! 私やっぱ無理だわ! だってかの有名なゆるふわ副社長に毒舌秘書だよ? 無理無理無理無理ぃぃいい!!」
と。そこで男性の声に断罪される。
「そうですか。わかりました。ではいったん社長に就任し、役立たずは直ぐに退任ということでよろしいでしょうか?」
背後で声。ひえっ!
「あ、い、いげた、さん?」
そして。
「千夏さんがやってくれないなら、繰り上げで僕が社長になっちゃおっかなあ?? なーんちゃってえ」
佐久間副社長だ!! なーんちゃって?
「さ、佐久間さん……井桁さんも。そこにいらっしゃったんですね……」
すると、佐久間副社長が、「ここ役員室ですからあ〜」と笑笑。
「さっきから同席してましたが、我々のことは見えてませんでしたか。どうやらその細っそいおめめもなーんの役にも立っていらっしゃらないみたいですね?」