EP19
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お店の休憩が、息子の悟さんと被ったので、お茶を淹れながら話してみた。
「なんかお疲れ様です」
悟さんが、お茶をどうもと一口飲む。
「すみません。ホントやりにくいよね。親父にも立花さんには気をつけろって言ってるんだけど」
「気をつけるって何をですか?」
「ふん、要はまあ不倫とか」
ママー。じゃなかった会長ーー。ビンゴもビンゴ。大当たり。
「不倫してるんです?」
「いや、今のところはまだそうはなってないみたいだけど……でもオカンに話していいか、わかんねしな。でも、もしそうなったらって考えると、めっちゃ吐き気がする」
「なんかすげーフェロモンダダ漏れですもんね」
「わかる? 親父もデレデレしやがってよ。それに……」
表情に翳が。どよんとした空気、私はそれを打破したくて、持参したポテチの袋をバリっと開けた。
「良かったら、菓子受けにどーぞ」
悟さんは、怪訝な顔をしつつ、手を伸ばした。
「今どっから出したの……まあありがと」
二人でバリバリとポテチを食べ、お茶を飲んだ。
すると、「すげ言いにくいんだけどさ……あの立花さん、俺にも色目を使ってくるんだ……親父が居ない時を狙って、こう……」
がばあっと自分を抱きしめる。
マジか。なんて破廉恥な!
でも、なるほどーねーーそれで親子の関係が悪いんだっ。ははん原因は女狐だったってわけね。
そう。あそう。許せないね。『千堂屋』を守るために、ここは私が立ち上がらねば。
なんつっても私、社長だからね!!




