EP144
「はあ〜疲れたあ。なんか空気も澱んでるし、風通し悪そうだし、まずはそこから改革してった方が良いのかなって思って、思いの丈を全部出してきた」
「社長は良くやったと思う」
「そういえば、『うちはブラックです』って書いた、人事部の牧野さんも連れてったんだけど、これが、悪名高き社畜、真のブラックかって、肩を落としてましたもん。こんな良い職場をブラックだなんて吹聴してしまい、なんてことをしたんだって、反省してました」
「そんなにブラックテイストが凄かったんですね〜〜良かったあ、うちホワイトで♪」
「うちはホワイト通り越してスケルトン目指してますからね。で!! そんな訳で、とりあえずアドバイスになったかどうか……どこまで受け入れてくれるかは分かりませんが、職場改善が、社員のモチベに繋がって、良い方向に回っていくことを願って……終了ーー飲みに行きましょーーー!!!」
いえーい!!!
そして、居酒屋『魅惑の肉と魚』にて。
「うちの社員さんが優秀で本当に良かったです。私、これからもたくさんの社員さんと話をして、そしてみなさんのお力をお借りしつつ、この『千堂屋』を守っていきたいと思います。かんぱーーーい♪」
(^∇^)
*
「とりあえず、乗っ取りとか買収とかじゃなくて良かったな」
隣を歩く、井桁さんがホッとした表情で話しかけてきた。
「はい。話を聞いたときは焦ってしまいましたが、蓋を開けてみれば、でしたね」
くすくすと笑うと、井桁さんが大きな手で私の頭をポンポンと優しく撫でた。




