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毒舌秘書は社長の私を放っておけない。  作者: 三千
事件は現場で起きているんだ!
138/146

EP138

「これが現実です。広報にはかなりの投資をしましたが、結果これ。新商品も出すには出すんですが、なかなかヒット商品が生まれない。このままでは、昨今の物価高、そして人件費高騰の波にのまれ、倒産の危機に陥ってしまいます」

副社長が、だーーっと喋りまくり、そして専務にバトンタッチ。

「そうなんです。なので、良いアドバイスをいただけたらと思い、こうして参上した次第でございます。同業者で右肩上がりでいらっしゃる『千堂屋』さんの経営のノウハウを勉強させていただきたいんです!」

私は、うーんと唸ってしまう。私たちがアドバイスできる立場にないことは、重々承知しているからで。

「せっかくのお申し出ではございますが、これまでの『千堂屋』は、私の父、先代が汗水流して存続させてくれたもので、それを私が潰すわけにはいかないとの思いひとつで、今までなんとかやってきました」

私は頭を下げた。

「私も必死です。他の方への差し出がましいアドバイスなんてありません。ただただ必死にやる、それ以外はありませんから」

「しゃ、社長……」

「申し訳ございません。このお話はなかったことにしてください」

二人はがっくりと項垂れ、そしてショボンとなってしまった。おじさんのショボンはあまり可愛くないが、胸は痛む。

「ただ……」


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