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EP133
「ん、美味しいです」
一口食べると、じゅわとバターが。うまい。
井桁さんのトーストは、もうあと一口のところまで来ている。
「ただの食パンだっつの」
憎まれ口を叩きながらも、途中鼻歌が出るほど、井桁さんは機嫌が良いみたい。
「千夏……って呼んでいーか? なあ今度デートしねえ?」
「はい。名前呼び嬉しいです。あとデートも」
ニコッと笑うと、おいその顔やめろ、だとか言っちゃって、頬を染める。
コワモテ元ヤンシゴデキ秘書なのに、なんか可愛い♡
*
やばい。やばい。やばい。
いや全然やばくない。なんも無かったんだからな全然やばくない。
泊まったのは……問題なし。
俺は昨夜のことを思い出していた。
「あーー可愛かったな」
抱けなかったが、キスはした。ちゃんと両想いだし、ちゃんと告白もした。
「そうだ。佐久間っちに報告……」
スマホを見て愕然とした。
『お泊まりできて良かったね! 会長のOKも貰ったし、これで既成事実作ったってことで良いよね? (≧∀≦)ヤッタネ!! 』
前言撤回、やっぱりやばかった!!




