EP132
「別にいいんだけど。今日休みだしな。シャワーでも浴びるか?」
「お借りしていいですか? っと、その前に! スマホ! ママ! やばい」
無断外泊、初めてやっちまったあ。
慌ててスマホを確認。
すると、『佐久間さんから、井桁さんと飲んだ後、ご自宅でお泊まりだと聞いてます。井桁さんによろしくお伝えください。(o^^o)』とあって、若干引く。
顔文字が頬を染めている。ぽ。
ないないないない! ないから!! なんもなかったから!!
「会長、大丈夫だったか?」
「だ、大丈夫みたいです。佐久間さんが連絡しておいてくれたみたい」
「よし、じゃあこっちこい」
私はそれからシャワーをお借りし、そして買い置きの歯ブラシを使わせてもらい、身綺麗にしてから、部屋に戻った。
と?
朝食が用意してある。
トースト、バター、コーヒー、目玉焼き……だと??
「食べるだろ? こんなもんしか出来ねえけど」
「いやこれは完璧な朝食ですよ。井桁さん、お仕事も完璧ですが、家事もですか。なんかすごくないですか?」
確かに周りを見ると、突撃したわりにとても片付いている。
「何言ってんだ。これぐらいフツーだろ」
そう言って、トーストにかぶりついている。私も座って、遠慮なくトーストを食した。




