EP125
「別に、お似合いだと思う」
悲しみがぶわっと湧いてきた。なんだか泣けてけてしまうような気がして、私はその場を離れた。
*
「おい。なんてことしてくれたんだ?」
俺が睨みを効かせると、佐久間っちは、へらへらと笑いながら、「楽しかったあ」と言って去っていった。
社長と神林悟が、連絡先を交換している場面に遭遇してしまったのだが、そのやり取りを佐久間っちも俺の隣で聞いていて。
そして、神林が帰ってから、社長と俺(に擬態した佐久間っち)との、よくわからないやり取りが始まった。
俺は、正直行って欲しくなかった。
俺のカワウソが、アイツに取られてしまう気がして。
食事会なんてよ、帰りにホテルに連れ込まれること間違いなしだぜ。そんなものはクソくらえとブチ壊してやりたかった。
だが、佐久間っちが隣で、しーー!! って口元に人差し指を当てるもんだから……
嫌だ、行くなと言うつもりが、佐久間っちが俺の口を塞ぎ、勝手に返答しちまった。
「あれじゃ、行けって言ってるようなもんだろうがよ!!」怒
喧嘩上等。俺の辞書に『負け』は記載されてねえ。
「ぶち壊してやる」
何がだって? 食事会だろうがよ!!
俺は息巻きつつ、役員室へと戻った。




