EP124
「えーっと。どうしよう」
スマホを握りしめて、その場でポカーン。
「よし。エーアイに聞いてみよう!」
ぽん! と手を打ち、スマホをスチャッと構える。
Q『食事に誘われたのですが、どうしたら良いですか?』
A『行くべし』
「えーー行くの一択かい」
壁にもたれかかると。
「行かないの一択だ」
廊下の壁、角の向こうで声がした。
「あ、え、井桁さん、もしかして、聞いてました?」
姿は見えないが、そのまま話を続ける。
「聞いてた」
「そうですか」
「行くのか?」
「迷ってます。私、男の人とお付き合いしたことなくって。どうしたらいいものか……」
「好きなのか?」
ん? あれ? 急に声のトーンが変わった?
「悟さんのことは好きですが、恋愛ってことになると……どうなのかな」
「それを確かめるためにも、ごはんは食べた方が良い」
さっきと言ってることが違うやないかい!
勧めてくるのは少しショック。前は、ダメダメとか言ってくれてたのに。
「でもデート……ですよ?」
「デートね、良いんじゃない」
!? (╹◡╹)
「二人っきりですよ」
「うん、良いと思う……ふが」
ふが?
「井桁さんは、私と悟さんがお付き合いすることになっても、構わないってわけですね」
なぜだか、私もムキになってしまっている。




