EP123
その様子を見ていた佐久間さんが、「じゃ、今日はこれでお開きで」と宣言する。
怪しげな雰囲気を切ってくれて、空気読むの
さすがだなあと思いながら、いったん『刺客神林悟報告会』は解散となった。
会議室から廊下へ出たら、少し行った角のことろで、悟さんがちょいちょいと手まねきしてくる。
「お疲れ様です。なんか色々と気にしながら仕事してもらってごめんなさい」
「いーえ全然です。ってか俺、この仕事向いてるかも」
「適任ですよ。松谷町販売店の店長には申し訳なかったですけど、悟さんに来て貰って良かったです」
「給料も増えたし、うちのオヤジもオカンも喜んでますって」
「それならOKってことで」
二人笑い合う。
と、そこで悟さんがはたと話を止めて、「社長ちょっと良いですか?」
「?? はいどうぞ」
「えっとですね、あの〜社長を食事に誘いたいんですけどダメですかね?」
「えーーー……ええーーー」
こういうの慣れてないから、どう返事したらいいのかわからない。圧倒的、恋愛初心者!
「連絡先交換していただきたいな、と」
「連絡先ですか。それは良いですけど……」
そして、ポケットからスマホを出して、ティロン♪
「やった! ありがとう! 食事はまた誘いますから、検討くださいね」
動揺はしているが、「わかりました」
悟さんは喜んでぴょんぴょんと飛び上がると、スマホを掲げながら、「じゃ改めて連絡します!」と去っていった。




