EP122
「では、今から私が企画書書きますので、早速ポップとポスター作りましょう。松谷町販売店の、佐藤環さんに依頼してくれますか?」
「佐藤さん?」
「はい。美術系の学校を卒業されています。この前、松谷町販売店を見に行ったんですけど、すごく良い感じに店内をディスプレイされてて」
「社長、いつの間に松谷町販売店に!?」
井桁さんが、慌てたように言う。
今日の、会議ずっと黙ってたけど、いきなり覚醒? 寝てた?
「いやあ、大戦力の神林さんを本社に引き抜いてしまいましたからね。ちょっと気になって。一昨日、さくっと行って、様子を見にいってきました!」
「言ってくれないと困ります」
おや? 少しオコ?
スケジュール管理の都合上、自分の動向は伝えておくべきなのかも知れない。けれど。
「退勤後に行ったので、気にしないでください。完全プライベートですから」
「プライベートに仕事なんて、それが良くないって言ってんです」
ここで、悟氏。
「社長が良いって言ってんだから」
「まあまあ」
「俺は……私は、ただ社長の体調を心配して……私があまり忙しくならないように管理しているんですから」
珍しくしどろもどろ。珍しい!!
なんかいつも怒られてるし、仕事山積みにされるから、ちょい拍子抜けする。そんな態度取られたら、申し訳なくなってくるじゃないの!( ͡° ͜ʖ ͡°)
「勝手なことして、ごめんなさい」
私が謝ると、「え、いや、こちらこそ悪かった。プライベートだもんな。社長が何しようが、俺に関係ねえしな」と、開いていたスケジュール帳を閉じる。
なんだ? この違和感は?




