EP117
「えっと、社長……ち、千夏、さ、ん」
「井桁さん、ど、どうしたんですか?」
そこで井桁氏、わかりやすく動揺。
「あ、あの、ゴミが……社長! なんかいろいろゴミがついてますっ」
そう言うと、私の髪をパッパと払ったり、肩や腕をポンポンと叩いたりした。
私の背後に回り、背中を払う。
すると、そこに入ってきた佐久間さんが、その様子を見て、「え〜〜いげちゃんが、社長にセクハラしているう〜〜」と楽しそうに言う。
「「違うからっ!!」」
二人の声が揃って、佐久間さんが一層、笑い声をあげた。
*
[勝った]
俺はそう思った。だが。♪違う違う違うそうじゃなーい♪
「やべえ、俺、すっげー嫉妬してた……」
愕然とする。
誰に?
『千堂屋』松谷町販売店元バイト現人事部社員、神林悟。
山路商会の社長令息、山路雅也。
この二人はぐいぐいくるからライバル認定。
そして、開発部小山田慎、人事部牧野、そして鮫島課長。←そんな素ぶり皆無だが気になる井桁氏
今後、この三人がアプローチを仕掛けてくるやもしれん。
副社長「佐久間飛翔」。この男は最大のライバルにして最大の味方。
「佐久間っちさ、社長のことどう思ってる?」←2回目
さすがに察したのか、「ああ、大丈夫。僕、子どもには興味なーい」
「もう子どもじゃねえよ。立派な社長だぞ」
「えええーそりゃ頑張ってはいると思うけど、僕からしたら子どもだよん」




