EP105
こいつが元凶か。
と、心で思いながら笑顔で話し掛ける。
「鮫島課長、いつもお疲れ様でございます。この時期に面談は珍しいですが、私、まだまだ若輩者で不慣れなものですから、どんな方が働いてくださってるのかな〜って思いましてですね」
「はあ」
「先代の社長、私の父は全社員の方々を把握していたと、副社長にお聞きして、それでは私も皆さんとコミュニケーションを!! ってな感じで……」
「はあ」
「で、お仕事どんな感じですかねえ?」←下手くそ
鮫島課長は、不審な顔つきで辺りを見回し、最後には私を見た。
「so-soですかね」
「そうそう……」
ほう。なるほど。英語を使う人って、ネイティブでうっかり英語が出ちゃう人か、自分をかっこ良く見せるために、捻り出してくる人か、どっちかなんだよなあ。
「 なるほどお。I seeです」
「 イエア me too」
はい。捻り出す人に決定。
なるほど、これはなかなか手強そうだ。
「困ったこととか、手こずっていることとか、ありませんか?」
「うーん……これ言っていいのかわからないんですけど」
「えっっ! なんかあります? 言っちゃってくださいよ」
「でもなあ、これ言うと、陰でチクっちゃうことになっちゃいますからねえ」
丸見えww
「ふふふ、見ザル言わザル聞かザルで手を打ちますよ。ここでの話はなかったことにしますし……」
「ふーん。社長はそういう感じですかあ」
めんどくさ。
「いやいやいや、でもそんな風に言われると、問題が何なのかなーー? って、めっちゃ気になるじゃないですか」
「ですよね。えっとお、うちの牧野がですね……牧野の面談って終わってますよね? なんか聞いてます?」
っと、ここは鉄面皮でいかねば。無表情。
「牧野さんは、特に何も」
鮫島課長は、ふうんと、無表情で頷く。




