EP101
「何を言ってるんですか。これくらいのことでクビだなんて、それ言ったらうちら役員全員クビですよ」←結構本気
私は笑った。
「貴重なご意見です。正直にお話しくださり、ありがとうございました。もちろん、牧野さんの事は決して口外しません。何か聞かれたら、私の潜入捜査の結果だと伝えておきます」
「……何か、すみません」
「??」
「『千堂屋』のこと、ブラックだなんて言っちゃって。つい、何もかも嫌気がさしてしまって。先代の社長が残した、素晴らしい会社なのに」
「いいえ。私も力不足は否めませんが、これからも精一杯頑張って、父が遺したこの『千堂屋』を盛り立てていかねばと思っています」
私は、ピンと背筋を伸ばし、改めて牧野さんへと向き直った。
頭を下げる。
「そのためには、もちろん牧野さんを始め、社員の皆様に気持ちよく働いてもらって、お力を貸していただかないといけません。私一人では、なんともできませんからね」
その後、牧野さんには、今まで通り仕事をしてもらうようにお願いし、仕事場に戻ってもらった。
「さて社長。次の一手はどうしますか?」
井桁さんがニヤリと笑いながら、問うてくる。私も対抗し、ニヤリと返す。
「人事部に1人、刺客を放ちましょう」
「誰を昇進させるんですか?」
「ふふ。私は外部から来てもらおうと思ってます」
「は? 外部……ですか?」




