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毒舌秘書は社長の私を放っておけない。  作者: 三千
人事部、牧野氏のちょいちょいちょーいな件
100/146

EP100


「おい。あんた。うちの社長のツラ構えを、よーーく見るんだな」

井桁さんが抑えた声で、ドスを効かせる。

牧野さんが、その脅しに身体をびくっとさせながら、私の方を見てくれた。

ありがとう、井桁さん。

「牧野さん、私はこの後、人事部の皆さんに1人ずつお話を聞こうと思っています。そして、もちろん鮫島課長にもです。そこから総合的に判断して、問題を解決したいと思っています」

デスクの上のライトをオフにする。

「本音を知りたいんです。社員の皆さんが、気持ちよく、仕事のできる環境にするために。だから牧野さんが望むなら、異動もやぶさかではないと考えます。けれど、牧野さんが今まで通り人事部で仕事をしたいと思っているなら、そこをなんとかしなければなりません」

私は笑って、「まずは牧野さんの本音を聞かせてください」

牧野さんは、目を伏せて俯いた。

そして、訥々と話し出す。

「……鮫島課長の態度がちょっと酷いんです。少しミスしただけで、すぐ揚げ足取ってくるし、立たされたまま長い時間、説教してくるし。この前なんて、せっかく私が企画立案した新人研修を、よく見もせずに一言でボツって言われて。それで、カッとなって……」

「ブラックと」

「はい。でもブラックは言い過ぎました。鮫島課長の件以外で、ブラックだと思うことはないのに、腹いせにそんなことを……これ誹謗中傷になるんですかね。私、減給……ってかクビですかね」



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