4話 都市伝説を捕まえろ
【Mind Stamp】
精神封印
脳に刻印を押して様子を見ること…
事務所 午前10:01
レオ「チッ…またかよ…」
タリック「君分かりやすすぎるよ…次やりたい人は?」
カレン「はい、私がやるわ…」
タリックはニヤリと笑いシャッフルをしカレンの前に差し出す
タリック「ようし…カード一枚選んで…」
カレン「これ…」
タリック「強く覚えてよ?念じるみたいに…強く…強く」
カレン「もう覚えたわよ…で…次は?」
タリック「シャッフルして…いちおう目を閉じておくよ」
タリックは目をつぶる
カレンはニヤリとし一枚抜きダンに渡し小声で言う
カレン(小声)「シャッフルお願い…」
ダン「へへ…よしきた…」
ダンは手際よく切りながらタリックを盗み見る
カレンはハートのキングを自分の座ってる椅子のお尻の下に隠す
タリック「ねえ?終わった?」
カレン「ええ…終わったわ」
ダンからカードの束をとりタリックに見せる
タリック「ふむ…じゃあそのまま扇状に持って」
カレン「はい」
レオ「なんか楽しそうだな」
タリック「うーん…カレン…このマジック…相手の表情を見ながらしないといけないんだけど…君は最初俺に見せるとき…カードを見ずに俺をみたね」
カレン「ええ…そうだけど?」
レオとダンも顔を見合わせて緊張感が走る…
タリック「…」
カレン「…」
タリック「凄いまともだね…俺でもそうするよ…」
カレン「ふふ…そうでしょ?」
タリック「君のカードはこれ…」
タリックはカレンの持つカードから一枚抜く
ハートのクイーン
タリック「どう?」
カレン「っ…ふふ…不正解よ」
カレンは笑う
タリック「待った…まだ…俺が言ったのは”君の”…カード…つまり…象徴するもの…であれば君はクイーンがぴったりだ…」
カレン「は?」
タリック「キングはいつも…クイーンの尻に敷かれる」
タリックはニヤリと笑いカレンにハートのクイーンをそっと押し付ける
レオ「すごいなぁ!」
ダン「どうやって?」
レオとダンが歓声を上げてるなかカレンは納得がいかなかった
カレン「なによもう…」
タリック「ああ、ねえ…キングが“重かった”ってさ、
そりゃあ、クイーンの下でずっと潰れてたら…ね?」
(カレン、ビクッとしながら睨む)
レオ「…ぁ…冗談……だよな?」
ダン「……俺は笑わねぇぞ」
Magician~
AKA
《Magilist》~
人の“認知”を操る者。
新聞を広げるタリック
タリック「うわ…すごい話だ…」
カレン「どうしたの?」
タリック「ここ見てよ…」
タリックが新聞を持ち上げるようにして見せてくる
”ドリームガイ”
今朝の報告で我々が取材を受けていたジョージ・ラペリーが自宅で無残な姿で発見された
我々は例の夢で見たら死ぬ…ドリームガイの取材をしていたのだった…
話によると既に三人亡くなっておりいずれも女性だということだった
その似顔絵も貼ってある
タリック「これ見て……『夢で見たら死ぬ男』。三人死んでる。みんな女性だってさ」
カレン「気味悪い……この顔も。妙に……見覚えがあるような……」
レオ「なーに偶然だと思うぞ?夢と現実は違いがありすぎるし」
ダン「とかいって怖いんだろ?」
レオ「俺は男だから出ないさ」
タリック「あぁ…死ぬならカレン」
カレン「私が死んだらまずあなたにとりつくわ」
タリック「俺って愛されてる…」
レオ「ああ…確かにな」
カレン「ふん…」
カレンはそそくさと事務所を出ようとし
タリック「え、なあ…どこいくんだ?」
カレン「教えないわよ」
ガタン!いつもにまして強い
ダン「俺は知らないからな」
レオ「俺も」
プルルルル!
タリック「お…レオ…」
レオ「はいはい…」
レオが少しだるそうに子機を取る
レオ「もしもし…はい…都市伝説?まさか…」
タリックがニヤリと笑う
タリック「この時間ほんと大好きだ…」
レオが子機を置き話す
レオ「ドリームガイだ…夢を見たんだと…」
タリック「行こう…依頼主の家は?」
タリックは待ちきれないといった表情でジャケットを羽織る
レオ「ペーパー通り三丁目…」
タリック「ダン…」
ダン「タクシーな…はいはい…」
ダンは食い気味にいいそそくさと携帯でタクシーを呼び出す
午後13:09 ペーパー通り三丁目
タリック「ここね…普通の家…お金目当てではないか…」
レオがドアをノックする
ドアが開くとそこには金髪の綺麗な女性
ダン「うぉぉ…」
レオ「ドリームガイの依頼主で間違いないですね?」
シャロット「はい…シャロットです…」
タリック「わお…これは確かに狙われそう…お邪魔しても?」
シャロット「ええ…どうぞ…」
シャロットの家は外観はごく普通だったものの内装は白を基調としかなり綺麗だったが一つずば抜けて存在感のある置物がある…
タリック「ふむ…」
シャロット「紅茶かコーヒー飲まれますか?」
タリック「あ…コーヒーほしい!」
ダン「おい…」
タリック「優しさを受けるのも仕事…」
シャロット「どうぞ…」
タリック「Gracias…(ありがとう…)」
シャロット「De nada…(どういたしまして)」
シャロットはハッとし言う
シャロット「なぜ私がスペイン人だと?」
タリック「この部屋…白基調に一つだけ目立つ置物…闘牛の像だね」
シャロット「……ええ」
タリック「ホームシック、か…スペインが恋しい?」
シャロット「…どうしてそこまで?」
タリック「目立つモノは、心の声が置かせてる。違和感ほど正直な感情はないからね」
シャロット「…そうです…両親も最後まで見送ってくれてて…こっちに来ると決めたのは自分ですけど…やっぱり寂しいです…」
タリック「そっか…じゃあ絶対に守らないとね…」
レオ「シャロットさん…任せてください」
タリックがコーヒーを飲みながら言う
タリック「ところで…最近…何か怖いことはなかった?夢以外の…例えば…ストーカーとか…」
シャロット「いえ…最近は夢の事ばかり…あ…」
シャロットは思い出す
シャロット「でも…夢ではストーカーに遭いました…例の…」
ダン「ドリームガイ?」
シャロット「はい…“夢”だったのに、私……翌朝、シャワーのとき、肩に触られた感触が……まだ残ってる気がして……」
タリック「そっか…怖いね…でも任せて」
シャロット「え…」
レオ「作戦が?」
タリック「ああ…」
ダン「なんだ?言ってみろ」
タリック「24時間体制で見張る」
レオ「冗談だろ?」
タリック「ううん?本気だよ…ドリームガイの事件は…調べたところ…話をした女性はその時間から24時間以内に亡くなってる…つまり俺達が見張っていれば…少なくとも大丈夫だし…24時間以内に死ぬ呪いもなくなる…」
レオ「その後は?どうするんだ…その時考えるよ…シャロットさん…いい?」
シャロット「…お願いします」
ダン「噓だろ?見知らぬ男3人が見張りに入るんだぞ?」
シャロット「でも…それよりも怖くて…」
レオ「仕方ないな」
タリック「よし…ちょっと二人とも見ててよ」
タリックが家から出ようとする
ダン「どこ行くんだよ?」
タリック「お気に入りの枕事務所からとってくる」
ダン「はぁ…」
レオ「ようし…」
ダン「なんで前向きなんだ?」
レオ「そりゃ実際の都市伝説をつぶせるのは滅多に経験できないからな」
ダン「やっぱり怖いんだろ」
レオ「ふん…どうだか」
~Magician~
《Magilist》
午後15:42 事務所
タリックが事務所のドアを開ける
タリック「ふう…」
その時事務所の奥から物音が…
タリック「ん…?」
タリックがゆっくり忍び寄ると…
バタバタ!
赤いTシャツの男が飛び出して一気に事務所を出ていく
タリック「うわあ!な…なんだ…?」
タリックは一瞬思い返す…あの顔…新聞で…
タリックはそんな事を考えながらも事務所にあるベッドから枕を取り
タリック「ふむ…何も取られてない…とりあえずいいか…」
吞気なタリックは枕を持ち事務所を出る…
午後16:23 シャロットの家
ダン「なぁ…」
レオ「なんだ?」
ダン「いやさぁ…カレンどこいったんだろうなって…」
レオ「さあ…拗ねてどこか行くなんてしょっちゅうあるだろ」
ダン「さっき電話しても繋がらなくてさ…」
レオ「そりゃ不可解だ」
ガチャ…家のドアが開く
タリック「やあ…戻ったよ」
レオ「遅かったな…」
タリック「ごめんごめん…タクシーが捕まらなくて」
ダン「はぁ…あと何時間?」
レオ「22時間くらいだ」
ダン「いー…まじかよ…」
シャロット「ごめんなさい…私…」
ダン「いえいえ…!えっと…ドリームガイまだかなって」
シャロット「え…ぁ…」
レオ「なあ…タリック…ん?」
タリック「ん…」
タリックはテーブルに枕を置いて寝ていた
レオ「いつ交代制にするって話してたかな」
ダン「ま…考えがあるなら仕方ない…」
午後 21:34 シャロット家
レオ「チェック…」
ダン「レイズ…」
レオ「おい…」
ダン「へへ…おりるか?」
レオ「…コール」
ダン「ほぉ…俺の手札はこれ…」
ダンはニヤリと見せる
ダン…スリーカード
レオ「ふん…」
レオ…フォーカード
ダンの顔から笑顔が消える
レオ「演技の天才と呼べ」
ダン「クソ…まじかよ」
その時…
タリック「うぁ…」
タリックが急に起きる
レオ「起きたか…まったく」
ダン「急に起きてどうしたんだよ」
タリック「夢…新聞の男見たぞ…ドリームガイ…」
ダン「は?」
タリック「なんというか…夢の中でも誰かに見られていた感覚が抜けない」
…
ダン「つまり…タリック…死ぬのか?」
シャロット「でも…なぜタリックさんまで?」
タリック「一つ…心残りなのは…事務所に枕取りに行った時に赤いTシャツの男がいて…一瞬だったけど…ドリームガイの顔だった気が…」
ダン「夢の話か?」
タリック「これは現実だよ」
レオ「はぁ?おい…不法侵入されてたのか?なぜ言わなかった?」
タリック「事件優先…別に大事なものないし」
ダン「あの娘のネックレスは?」
タリック「あぁ…えと…」
レオ「よせよ…それより…入るか?」
タリック「これ何?ポーカー?」
ダン「テキサスホールデムだ」
タリック「ポーカーね…」
レオ「あ…待った…お前は目隠しして遊べ」
タリック「酷いハンデだ」
午前6:12 シャロット家
タリック「ふぅ…夜には現れなかったね…」
レオ「そうだな…」
ダン「にしてもシャロットさん…寝なくて良かったのか?」
シャロット「あぁ…えと…どちらかというと…寝れなくて…」
ダン「あぁ…」
シャロット「誰かがそばにいてくれたら…」
タリックとレオが目を合わせる
タリック「まずいレオ」
レオ「どうした?タリック」
タリック「事務所に戻らないとだ…でも…あーダン…俺とレオは戻るから…後はお願いね」
レオ「すまないな」
ダン「え…おい」
ガチャン…タリックとレオが出る
シャロット「えへへ…えっと…」
ダン「あっ…じゃあ」
シャロット「うん…」
外
タリック「果物屋寄っていい?」
レオ「果物屋?」
午前7:02 事務所前
タリック「よし…じゃあこれで」
レオ「ん?」
タリック「なに?」
レオ「あ…いや…事務所前でお別れか?それにお前も夢を見たなら…」
タリック「いいさ…ただの都市伝説…じゃ…」
そそくさと事務所に入って行ってしまうタリック
レオ「奇妙な奴だ…」
タリックは事務所のベッドに腰を掛ける
タリック「ふぁ…ふう…ん…」
タリックは眠りに入る
その時…
カチャ…鍵が開けられる
ストッ…ストッ…何者かがタリックのベッドのある部屋に近づく…
キィィィ…ドアがゆっくり開くと
レオ「そこまでだ…」
???「っ!」
レオが後ろから突きつける
タリック「お見事…警察は呼んであるよ…さて…ドリームガイ…話そうか」
ドリームガイ「な…なぜ…」
タリック「君のトリックはこうだ」
君の気に入った女性…そういう人に何か印象付ける…例えばストーカー…気味の悪い接触…
すると女性は君を恐れる…印象付けられる…【Mind Stamp】だ…
そうして恐怖で睡眠は浅く…さらに夢を見る…君の夢…そして薄々噂になっていた君の顔は夢だとさらに印象深い…しかし話はこれから…君はそんな女性を殺していった…だからより都市伝説になった…
タリック「最初の一人目が発端だね…でも奇跡だ…君みたいな人間が少なくともそういうことで覚えられるなんて…」
レオ「おい…」
タリック「だけど…どんな理由であれ無実の女性たちを殺すのは間違っている…」
ドリームガイ「っ…して…」
レオ「?」
ドリームガイ「どうやって俺を…都市伝説的俺を罠に…」
タリック「簡単だ…」
君はシャロットを”殺せなかった”…理由は俺達がいたから…もし殺しにいって俺達に見られるようなことがあればそれは都市伝説じゃなくなる
君は最初ただ女性を殺した…理由は…おそらく好きだったのに振られた…でもしつこく迫ったんだろ…そうしてその娘には夢として出てきた…その娘は周りに話すも夢の男として広まった…
それから徐々に君は自身が都市伝説になることに酔い殺しを続けた…
タリック「本題はこれから…」
君を罠にはめたのは…君が俺を殺そうとした…理由はシャロット殺しを邪魔してるから…
シャロットの家から出てなかなかタクシーを捕まえれない俺を見て君は思いついた…自身の車で先回り…俺は有名だから事務所も分かっていた…
俺の事務所に侵入した君は俺に印象付けようとわざわざ顔が見えるように走り逃げた
俺は思いついた…レオに話したんだ
~回想~ タクシー内
レオ「お前の事務所の前で帰るふり?」
タリック「そう…実は俺をつけて来ているやつがいる」
レオ「誰だ?」
タリック「ドリームガイだ…おそらく俺がシャロット殺しを邪魔したから…俺さえも都市伝説として新聞に死亡報告を書かせたいみたい」
レオ「まあよくわからんが…乗った」
タリック「あとこれ使って」
レオ「あぁ…なるほどな…楽しくなりそうだ」
~回想終わり~
タリック「そして見事騙された君はいまお縄につこうとしてる…君のどうしようもない殺人プライドが自身の足をすくったんだよ…それと…見事な演技だった…レオ…」
レオ「ああ…これでもダンのやつをポーカーではめてやったからな」
警察「警察だ!地面について腹這いになれ!」
タリック「お迎えだよ…さて…レオ…もういいよ」
レオ「ああ…」
レオは銃に見立ててドリームガイに突き付けていたバナナの皮をむいて食べ始める
レオ「ん…まさかバナナ一本で都市伝説止められるとはな…タリックといると胃がもたれるな」
ドリームガイ「っ…!」
タリック「ふふん」
タリックは悔しそうな顔をするドリームガイにニヤリと笑顔を向ける…
その後…
シャロット家 午前9:12
タリック「てなわけで…無事捕まったよ…」
シャロット「ぁ…本当にありがとうございます…やっと安心出来ます」
ダン「あぁ…良かった…」
安心したシャロットが、気づけばそっとダンの胸に顔を寄せていた…その瞳は、もう怯えていなかった
ダンもシャロットを包み込むように抱きしめる
タリックは二人を見てニヤリとし
タリック「じゃ…あー…俺はこれで…ダン…先帰ってるよ…じゃ…」
ダン「お…おう…」
タリックはシャロットの家を出ると振り返って笑みを浮かべるのであった…
続く