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1話 マジシャン

挿絵(By みてみん)

午前:9:48


チッチッチッ


時計の音…人間が歩き足音を立てて進むように時間も進んでいる


タリック「つまり…足音は時計の秒数と同じなんだよカレン」


木目を基調とした壁…茶色い部屋では観葉植物がよく映える…

これは茶色が落ち着く色で緑がまるで外の見慣れたような…

木の葉っぱを演出しているからだ…

人は見慣れたものを好む…だから変化を嫌う…大きな変化を…


目の前にいるカレン…彼女も俺を見慣れていて落ち着いてる

デスクに身を乗り出して話を聞いている


いいことを教えよう…

トランプマジックではこれを使ってる


相手に一枚ひかせてよーくおぼえさせるんだ

次にシャッフル…そしてカードを見せる…一枚ずつなでるように…

すると見慣れた安心する覚えたカードだけ反応が違う


タリック「足音は時間…」


カレン「あなたの哲学って地面に張り付いたガムみたい…」


タリック「踏むたびに色濃くなるって事?」


カレン「いい解釈ねー…じゃああなたに私がいい意味で言ったってことじゃないのに気づくまで踏んでやろうかしら」


タリック「そそられる取引だね…レオ…出来るだけとげとげしたのついてるジャケット貸して」


レオ「はは…やめればいいだけなのに」


タリック「彼女に言えよ」


ダン「そこの金髪女には要注意の看板がついてる」


カレン「賢い奴らは理解してるみたいね?」


タリック「つまり…君を除いた俺たちが」


カレン「あのね…」


プルルルル…


カレン「もう…なに…」


レオ「もしもし…ああ…なるほど」


タリック「事件?」


レオは子機を耳に当てながら頷く


レオ「担当はタリックに…では」


ダン「概要は?」


レオ「ユイオス通りの家で殺人…」


タリック「楽しみだ」


タリックは椅子から立ち上がりスーツジャケットを羽織る


カレン「行きましょ」


午後12:34


事件現場はユイオスの一軒家

青い屋根は少し塗装が剝げてる


タリック「この家ってかなり新しいよね?なんか屋根は古いな」


レオ「家は傘を使えないからな」


タリック「家が傘だよ…」


ダン「どうも…えっと…早速…被害者は?」


警察1バン「あんたらは?」


ダン「新入りか?噓だろ…タリック事務所だ」


警察2マイケル「おい新入り…通してやれ」


警察1バン「あ、はい」


警察2マイケル「それとロバート呼んでこい」


警察1バン「わかりました…えっと」



タリック「どうしたの?」


警察1バン「いや…人探しを…」


タリック「ロバート?」


警察1バン「ああ、ご存知ですか?新人に人探し頼むなんて最悪の先輩だ…」


タリック「その先輩ってさっき君に頼んで見張り変わった人?あのマイケルって名札の…」


警察1バン「ええ…そうです…多分…マイケルって感じの顔だし…所で…ロバート探してくるので…」


タリック「ああ…ごめんね…また…」


カレン「なに話してたの?」


タリック「それはともかく遺体に案内して」



・家の中には、リビングに女性の遺体。年齢は20代半ば。

・部屋に荒らされた形跡はない。

・死因は「頭部の損傷による即死」だが、凶器が見つからない。

・電球を持ってる


タリック「ふむ…」


ダン「何かわかるか?」


タリック「一目瞭然だね…」


タリックの説明

遺体の周囲には、落下物・血の飛散・割れた家具などの“事故”っぽい痕跡はない


タリック「少なくともこれは警察が既に断定してる…そして…」


タリックはニヤリと笑う


タリック「被害者の服はドレス?綺麗で、出かける予定だったような服装をしてるね」


カレン「見ればわかるわ」


タリック「靴を履いてない」


レオ「そうだな?つまり…」


タリック「この格好を見るに彼女はパーティーに行こうとしていたか…デート…」


カレン「あ…ダン…近くにパーティーを開いている情報は?」


ダン「一つあるな…市長主催だ」


タリック「大掛かりなパーティーなら動機も大きいな」


レオ「しかし凶器がないな」


タリック「ふふん…ここ見て…」


タリックが靴箱を開ける


タリック「スニーカーしかない…つまり彼女がこのドレスとあわせるのはハイヒールのみ…さらに…」


カレン「一番殺傷能力が高い…」


タリック「その通り」


レオ「犯人は部屋を散らかさないように彼女を殺した…」


タリック「そのことなんだけど…傷が頭の後ろにあるのはおそらく後ろからやられた…犯人は恐らく彼女が家にあげるような人だ」


カレン「でもその流れだとハイヒールを脱いでる理由は?脱がせたのなら後ろからなんて無理よ」


タリック「電球を持ってる、電球を変えてた…脚立に乗る時にハイヒールは危ない…鏡があるし服を着た姿を確認しようとしてたけど…電気が消えた…ブレーカー落とせばそう思わせれる」


レオ「犯人はハイヒールで殺害しさらに脚立とハイヒールを持っていった…」


ダン「脚立持ってく必要あったか?」


タリック「それが…」


タリックはにやりと上を指さす


レオ「塗装が剝げてた…」


タリック「理由を突き止めよう」



タリック「あった…上に脚立が…」


レオ「犯人は簡単に上がらせたくないのか」


カレン「証拠があるってこと?」


レオ「どうだろうな」


ダン「どう上がる?」


タリック「ふふん…レオ」



レオ「痛い痛い!早く登れよ!」


タリック「あともう少し…よし…ふう…」


ダン「なにかあったか?」


タリック「うわ…近くでみたら凄い、剝げてたんじゃない…塗りかけ…ここだけ…」


ダン「そうなのか」


カレン「で?他には?」


タリック「少し高いけどここからなら屋根から飛んでそこのフェンスを越えられる…ショートカットかな」


レオ「犯人の逃走ルートか…くそ…腰痛い…」


タリック「なあみんな、次はパーティーの情報を知りたい」


カレン「言うと思った…」



次に向かったのはパーティー参加者の家


コンコン…


リン「はい…」


タリック「こんにちは、探偵の者です」


リン「……はぁ。どうぞ」


タリック「昨夜のパーティーについて、少しだけ伺えますか」


リン「…あ…えと…もしかして…アビーのことで?実は昨日…」


タリック「遺体が見つかりました」


リン「……そんな……ウソ……」

(沈黙)


タリック「それで…彼女、昨日は“新しい服を試したい”と言ってたりしてなかった?」


リン「うん……自慢してた。“男受けしないと意味ないよね”って」


タリック「誰かに見せたい人がいたんですかね?」


リン「……知らない。最近はよく笑ってたけど、何考えてたかまでは……」


タリック「パーティーでは、彼女と踊った人を覚えてた?」


リン「いえ…彼女、遅れるって連絡だけで…来てなかったから」


タリック「来なかった彼女を、誰かが探していた…そんな様子は?」


リン「……そういえば。ジョンが……やたら時間気にしてたかも。

“もう来た?”って。何度か聞かれた気がする」


タリック「……そうか」


リン「ごめんなさい、私、もう……ちょっとひとりにさせてもらっていい?」


タリック「ええ。十分です。ご協力ありがとう」


事務所14:34


タリック「戻ったよ…あれ…ふたりは?」


カレン「帰ったわ」


タリック「なんで君は残ってくれてたの?」


カレン「はぁ…見てこれ」


カレンが何かを置く


タリック「ハイヒール…」


カレン「パーティー会場で見つかったの」


タリック「…」


ピーポーピーポー


脳内でサイレン…ハイヒールを見て思い出す


あれは思い出したくない


数分前まで


「見て!初めのハイヒール!」


その後


ただ手をつないで一緒に信号を渡ってた、青だったのに


キィィィ!!!!!


次見たのは


なんだったか…


逃げる車…?


「ねえ…ねえ…」


カレン「おい!!!!」


タリック「なに…」


カレン「さっきから聞いてるわ!これ!凶器のハイヒールだと思う?」


タリック「ペンキが塗られてる…青い…中まで塗られてるのが証拠だ…恐らく凶器の…」


カレン「なんで塗ったのかしら」


タリック「さあ…今日は帰っていいよ…」


カレン「言われなくてもそうするわよ」


カレンが事務所のドアを開け


カレン「おやすみ」


タリックは事務所一人残された


マジシャン

マジリスト


カレン「もしもし…ねえ…タリックに例のハイヒール見せたらやっぱり凶器のだって」


ダン「そうか…俺の考えでは恐らく犯人は計画的犯行だ」


カレン「わかるわ、犯人はペンキを塗ること前提として動いてた」


ダン「つまり…ペンキを屋根に塗ってた人物か…」


次の日


タリック「よし…」


タリックは赤いカードと青いカード…さらに緑…黄色を用意した


ガチャ…事務所のドアが開く


カレン「おはよう」


タリック「ああ…おはよう」


カレン「それなにしてるの?」


タリックはニヤリと笑う


タリック「ふふん…どれが印象深い?」


カレンは青と赤をちらりと見たのち黄色を選んだ


タリック「君に似合う色だ…」


カレン「まって…どういう意味?」


タリック「臆病」


カレン「あなたってただ褒めることできないのね」


タリック「さてと…パーティーにいった人たちを集めよう」


カレン「え…急ね…沢山いるのよ?」


タリック「ダンスクラブの人たちだけね」wink



タリック「いい?君たちは出来るだけ大きく怖く警察だっ!って言うんだ…合図は俺が靴をとんとんしたらね」


レオ「わ…わかった」


ダン「また変な役回りだ…」


午前:10:21


タリック「やあどうも、ここ全員ダンスクラブ…?」


ジョン「あんたらは?」


タリック「タリックだよ…よろしく…」


カレン「で…あんたはなにしたいの?」


タリック「見てて…みんな…えっと…ジョンにポールにウェイドにダブ…実は警察が来る前にしないといけないことがある」


ウェイド「警察?なんで?」


タリック「誰かは教えてくれなかったけど殺人の犯人が判明してね…だから先にこの紙を渡したい」


ファサッ


紙をどこからか出す


ウェイド「おお!」


ダブ「なんだそれ」


タリック「これは警察に見せるだけでいい…俺たちが既に確認した証」


ポール「犯人はわかってるんじゃ?」


タリック「俺達は共犯者を探してる」


ウェイド「へえ!選んでいい?」


タリック「ああ…集まって」


ジョン「…」


タリック「あれ…ジョン…青は嫌い?」


ジョン「緑がよくてさ」


タリック「ふん…お遊びは終わりだ…君は視線をずらした…まるで見ちゃいけないようなものを見たように」


ジョン「だからなんだよ」


タリック「君がアビーを殺した」


ジョン「はあ?アビー?誰だ?証拠は?」


タリック「証拠?俺は持ってない…警察が来てるからね…俺は時間稼ぎ…」


トントン


警察だ!


ジョン「っ!」


ダン「まて!」


タリック「追いかけなくていいよ」


ジョン「うああああああ!」


ジョンが足を抑えて倒れる


ウェイド「お…おい」


ポール「足どうしたんだ?」


タリック「バレないように怪我を隠したのも…逃げたのも裏目に出たな…さあ刑が伸びていくよ3…2」


ジョン「しょうがなかったんだ!あいつが浮気してたから!あの日だって!こっそり浮気相手と踊ろうとしてた!」


ウェイド「え…う…浮気」


タリック「さて…認めたな」


カレン「名演技だったわね…ダンにレオ刑事?」


ダン「だがよ、ジョン…ケーキに凶器を仕込むために、ペンキ塗って逃走経路まで計算してたんだ。

浮気“だけ”でここまでするか?」


タリック「……彼女が最後まで“自分を見なかった”こと。きっと、それが一番の動機だったんだろう」


ジョン「クソ警察が!お前もハイヒールで殺してやる!」


タリック「じゃ…本当の警察が来るまでそうしてて」


ジョン「っ!」



午前11:24 事務所


ダン「浮気で殺しか…」


タリック「…ふむ…犯人が選んだのは、“一歩”だった。だがその一歩が、秒針のように“死”に向かって進んだんだ」


レオ「それ深いな…」


カレン「ねえ…あれって作戦だったの?」


タリック「いや、“作戦”ってのは勝つためのものだろ?」


カレン「……違うの?」


タリック「俺のは違う。“見せるため”さ。驚かせるため。演じるため。」


(間)


タリック「だから“トリック”って呼びたいんだ」



次回 マジック重視 コイントス

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