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ReCall  作者: をわり
1/5

Prologue

ようやく話の構想が固まり、ようやく世に出すことができます。


どうしても更新は遅くなるかも知れませんが…どうか「彼ら」の顛末を、「彼ら」の最期まで見てくださると光栄でございます…。


11/8 をわり

暗雲立ち込めた最中、ぽつんと建つその建物は。

限りなく黒く、そして白く、はたまた紅く染まってゆく。


ひとつとして同じ形を作らず、それを見たものは一人としてその存在を覚えることができない__。




 ――――――




ああ、どうも体が重たい。


私はなにか、別の世界に来てしまったのだろうか。窓越しに見える静かに降り続ける雨は黒く、全てを飲みこんでしまいそうだった。

そして、目覚めた時から薄々気付いていたが、ようやく確信した。

…私の、私という、すべての記憶がごっそりなくなっている。


 なにも、わからない。


分かることは…、私が「ソフィ」という人であることのみだった。

狭くも広くも無い部屋を見回す。

さっき私が目覚めたベッドの布団類は、きっちりと畳まれている。私が無意識に畳んだからだ。


小さな鏡台に、「diary」と金文字で書かれた本が置いてあった。書いていることはいたって普通の日記のようだった。ただ、最初の2、3ページは丁寧な読み易い字で書かれているが、少しずつ字が雑になっている。ページの最後の方はもう、別の世界の文字になってしまっているのだ。



「お客様、お目覚めでございますか?」



…振り向くと、きっちりとしたスーツを身に纏った男性が立っていた。音もなく部屋に入ってきた訳なのだろうが、それと相反した口調の柔らかさ、手足の隅々まで柔らかく、しなやかに、見る者を魅了するような、そんな印象抱かせる動きだった。


「…あなたは、誰かしら?」

(わたくし)、この建物…「pension recall」の支配人でございます…。」


深々とお辞儀をし、そしてそれはゆっくりと顔を上げて私の方へと顔を向ける。


彼には、顔がなかった。


正確にはは、モヤがかかって見えないという方がいいだろう。ただ、本当に、顔だけが何も見えないのだ。表情も、瞳の色も、肌さえも。

どうも不気味に見えるはずなのに、彼のその動作1つひとつを取って見たとして、悪人とは言うことができないだろう。


「ソフィー様、皆々様方がお待ちでございます。」


そう言って彼は、私の手をふわりと握る。手を引かれるがままに、この部屋を後にするのだった。




「ようこそ、pension recall へ。」

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