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第百一話 学校の依頼?

「……まあ、君がしたいようにするといいよ」


 釈然としないような表情をしているが、とりあえずは納得してくれたようだ。


 面倒な後輩で悪かったな。


「……さ! 依頼も溜まっているし、ここらでこの話はおしまいだね!」


 手を叩き、雰囲気を変える部長さん。

 夜露が関わっても問題ない依頼ということは、組織絡みのものではないのだろう。


 さてさて、今度は何をさせられるのかな……最近聞いた噂といえば、巨大なキノコが学校を徘徊してるってのがあるけど。


「今回の依頼は学校からのものだね。ずばりなんと! “学校の怪談の調査”!」


 学校の怪談。

 1段多い階段だとか、花子さんだとか、やたらとバリエーション豊かな婆さんだとか、足なんて飾りな亡霊だとか、霊もとい例を挙げればキリがない。


 階段かぁ……一時期流行しまくった結果「花子さん」っていう魔生物が生まれるまでになったっていうあれかぁ……あ、ひょっとして今回の目的は「いないことの証明」だったりするのかな。


「まさか花子さんが発生したんですか?」

「いや、それは『まだ』だね」

「『まだ』……」


 つまり発生する条件は整っているということだ。

 物語から生まれる魔生物は、その物語にマッチした特殊な魔術を使ってくることが多い。


 花子さんでいうとトイレでノックしないといるかどうかがどうあがいても分からないうえに、ノックした時点で魔術が発動するからそのまま引きずり込まれて死、なんてこともあるんだよな。

 ノックしてドアが開いた一瞬の間に仕留めないと負けっていう面倒な相手っていう。それが知られてなかったせいで、「花子事件」はマジで悲惨だったからな……。


「One hundred storiesっていうやつかしら!」

「少し違う。怪談は基本的にルール無用」

「まさかのデスマッチ!?」

「それも違う……」


 パイセンは隣にいた書記さんにあれこれ聞いている。しかし、互いに話が微妙にかみ合わない。


 百物語って、正しい手順でやるとマジで儀式系の魔術になるんだったか? 効果は怪物の召喚とかだった気がする……。


「そうだねぇ……まあ、期限は定められてないし、夏休みまでに解決できればいいかな?」


 部長さんはホワイトボードに、ふわふわした人型のオバケらしきものを描く。

 そしてそれを、車両通行止めの標識の斜め線を逆にしたような図で囲む。


 おい待て、そのロゴはまずい。


「ボランティア部、ゴーストハント作戦だ!」


 どこから持ってきたのか、ホースのようなものを抱えてはしゃぐ部長さん。


 ハントというか、バスターするのか……。





 帰り道、不幸というかなんというか、パイセンと方向が同じだ。


「ぷっくふふ……くすくすくすくす……」


 そしてさっきからずっとこの調子である。


 笑うな! てか状況が理解できてるならせめて何か言ってくれよ!


「ふふふっ、悪いわね。いやほんと、悪いわ、くふふふふっ」


 パイセンはこれっぽっちも悪いと思っていなさそうな口調で謝罪する。

 しかし、本当にこのニンジャは何を知っているのか。まさか、知りすぎて消されるほどに知っているのだろうか。あえて話さなかった的な。


 初めて会ったときから何か変だったし……目的くらいはっきりさせて欲しいんだけどな。暗躍とかされるのが1番迷惑なんだよ。


「ふふっ、貴方、組織に因縁も何もないんでしょ? その感じだと。でも……ほら、面白そうだったから、ね?」


 ね? じゃないんだよ。誰が好き好んで危ない橋を渡りたがるんだよ。


 いつだって確実な道を。いつだって安全な方へ。そうして生きてきたのだ。

 そうでもないとすぐに死ぬ。この世界は、子供1人で生き延びれるほど優しくない。


「まあいいじゃない。組織がちょっかいかけてきても、私たちがいるでしょ?」


 でももうアンタ1敗してんじゃん。……あ、でもあれが僕だっていう証拠は残してないからそれは話題に出せないか。


「それにほら、おかげで幽霊なんてのが見れるかもなのよ? 滅多にないわよ? こんなチャンス」


 そんなチャンスは欲しくなかった。



 幽霊なぁ……トリモドキに話聞いておくか? 冥界の出身のはずだし。

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