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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第六章 セルテの章 船旅に向けて
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祭りに向けて

ステラの作戦を聞く。


「この街は港町だからか、魚食の習慣が強く、我々内陸の料理は物珍しいはずです」


ほうほう。


「それに、商業の街らしく、沢山の食材が流通していました。特に粉物とお芋はかなり割安です」


へぇ。さすが我らが料理番。


「粉を使った料理は単価設定が高めで割安にボリュームも出せるので、かなり割良く稼げるはずですよ」


悪くはない。なら乗るにしても突っ込みを入れていこう。


「お祭りの期間中、材料は安定して入手できるの?」

「先程お店を構えた問屋さんと話してみましたが、先払いで75レセト入れれば、必要十分に確保してくれるそうです」


「屋台の台車や骨組みは?」

「実行委員会から期間中130レセトで借りられます」


「ここまでで200レセトを超えるが…どうだろうか?」

「悪くはないと思うわ。ステラの料理の腕前もあるし、私も合わせて二人で店を回して、あなたには片付けと用心棒をやってもらうの」


コロネが『自分は?』と言わんばかりにステラによじ登り、ちょっと重くなった身体を首に巻き付けていた。


ひと月分の滞在費を頭の中で計算する。

宿が一日12レセト、日数がひと月、食事が一日二食三人分ずつ。ざっと500レセトはかかるわね。屋台代と合わせると700レセトを超える。


「船代は?」

「俺が調べた。『青の海』向けに定期便が出ている。二週間の行程で一人180レセトだ。


ということは、船代でさらに540レセト。概算でも1240レセトはないといけないから、余裕を見ていくとなると1500レセトくらいは稼ぐ必要があるわよね…。


コルトレでは三人でそれなりにバタバタ働いて、半月でおおよそ500レセト程度だった。それも、カクタスがかなり割良く雇ってくれていて、だ。


「やるしかないわね。普通に稼いでたら数ヶ月足止めされちゃうわ」

私も覚悟を決めるのだった。


「ふふ、楽しみになってきました。放浪の民の料理とか、物珍しいものも出せますし…」


ステラのやる気は最高潮に上がっている。ここまでくると逆に止めるのも難しいだろうね。


「よし、じゃあそれでいこうか」

イグジも乗った様子。


「私はステラを『竜の花嫁』に仕立てようと思ったんだけどね」


「………え?」

「…ふむ、それもいいかもな」


キョトンとするステラと、まともに思案するイグジ。


一瞬間を置いて、ステラが混乱した表情で否定する。

「いやいやいや、私にそんな恐れ多い!どんなに名誉な役割かって町で色々聞きましたもん!無理ですよ!むーりーー!」

「はは、そこまで否定されちまったらできないよな」


二人で話を片付けてしまった。いけると思うんだけどなぁ。



「さ、じゃあご飯食べながら、作戦会議といきましょうか」

手をパンと叩き、一度場を閉める。


今日は美味しい魚が食べたいわね。


「セルテさん、貝焼きって食べたことあります?」

「ないわ」


「美味しいんですよー!海がそのままギュッと凝縮されたような味がして」

「あんた、海初めてって言ってたじゃない!」

「よく考えたら子供の頃海に来てたわけで…思い出すと色々食べてました」

「なによそれー!」


三人でケラケラ笑いながら繰り出す街の屋台。



一体、どんな明日が待っているのだろう。

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