表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第五章 イグジの章 水竜への旅路
78/294

違和感の正体

夜はステラとセルテを宿に置き、俺一人、外を出歩く。

セルテがいないと明かりひとつとっても難儀する。


松明を用意して、街の外れまで来ては、やはり関係なかったと折り返し、雷の曜日から光の曜日へと残酷にも移り変わる。


これは何か、大きな見落としがあるのかもしれない。



ステラはこういう時、発想の転換がうまい。俺のような頭の硬い奴には、それだけで羨ましさを感じられてしまう。


コロネは俺が連れ歩いたから、危険な目に遭っているんだ。

この失態、俺が取り戻さなければコロネに謝りきれない。


そう思って街中を歩くほど、答えは遠のいている気がする。


ーカラン…

宿に入ると、ステラが忙しなくうろうろとしている。


「あ、おかえりなさい…」

少しフラフラしているステラを支えようと手を伸ばす。

とっさに手を伸ばしたが、負傷した左手を伸ばしてしまった。

「おっと」


とりあえずステラの顔色が悪い。

…とセルテが腕組みをしながら出てきた。セルテまで顔色が悪かった。


二人とも昼まで休めと言ってしまった手前、俺も休まなければならなくなった。


何か。

何か見落としがあるはずだ。

焦っても時間は過ぎるばかりで、気がつけば日は高く登ってきていた。


カクタスには後で礼を言うとして、眠気で回らない頭に活をいれるため、俺は井戸から水を汲み上げた。



軽く水を浴びた後、もう一度街に出ようかとすると、またセルテに出会う。


少し寒そうにしていた彼女に声をかけるが、だいぶ疲れているようだった。



結局、運命の光の曜日も、酒場の始まるその時まで、何ひとつヒントが得られないのだった。


酒場でのセルテは、見事に切り替えて対応している。

それに対して、失敗を重ねるステラ。

店主のカクタスも、事情をわかってくれているから特に咎めることもなく、少し早めに業務から抜いてくれた。


日付が変わるまであと数刻しかない。


と、その時だった。

先を急いで宿に戻ろうとしたからか、看板をしまおうとするセルテとぶつかってしまった。


「んっーーーー」

なんとも、声にならない声を浮かべ、セルテがかがみ込んだ。

「どうした?大丈夫か?」

右手で腕を掴み、セルテを引き上げた時、セルテが声を上げた。


「いったぁ…!」


なんだ?何かおかしくないか?

俺はセルテの袖を捲り、驚いた。




セルテの左腕に、まるで矢で貫かれたような丸い跡がついていた。穴が開いているわけではないが、その周りには血が滲んでいたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ