表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第五章 イグジの章 水竜への旅路
74/294

ひもと鬼ごっこ

酒場での交渉の結果、臨時でステラとセルテを雇ってもらえることになった。

170マレル改め85レセト稼ぎながら、酒場の併設宿で泊めてもらい、生活費を出して次の街への準備を整えるために、おおよそ一週間。夕食は俺の分まで含めて賄い付き、チップや大入りの臨時ボーナスありというのはかなり良い条件だろう。


…だが。

俺はヒモじゃない。ちゃんと俺も自分で稼いで皆の役に立ちたいのだ。


腕を怪我しているとはいえ、俺にあるのは体力と剣術と射出魔術だけだ。


朝から何をしたら良いか考えながら、コロネと共に街中を歩く。



ーん?


ふと、自分についてくる気配に気づく。

おおよそ50歩ほど離れている。素人ではない。かなり上手く歩調を合わせて足音も気配も消している。


コロネが意識する方角の方にも、もう一人隠れているようだ。最低二人が俺達を嗅ぎ回っている。


可能性としては四つ。


一つは昨日の野盗。この可能性は高い。

セルテやステラの身につけている金目のもの狙いか。二人とも高価な魔術素材を身につけている。だがセルテが魔術師でとんでもない出力を持っているのもわかっているだろう。


二つは救護院の関係者。怪しい旅人が急に来て、踏み倒すとも限らない(セルテの交渉の件もあるし)。本当に支払うかの信用を調査しにくる可能性があるからな。


三つは街に入ってから変な奴と接点を持ってしまったか。その場合、酒場の関係者かその客の線が高いだろう。昨日の二人への視線は少々熱すぎるものがあった。勘違いする奴がいてもおかしくはない。


四つは俺達の誰かが個人的に狙われている可能性。俺はこの街とは接点もないし、この町で狙われる可能性は低い。恨みを買っている可能性はあるけどな。

そうなるとステラかセルテだろうか。なにせ二人ともとんでもない美人だ。人買いに目をつけられてもおかしくない。いや、豪族や貴族に見染められることだって考えられるのだ。


どの線にしても、俺はあいつらを守る。それだけだ。


覚悟を決めて街中を歩き、撒けるレベルかを確認する。

…違和感なく振り切るのは無理か。


コロネは賢い。俺が走ればちゃんと付いてくるだろう。

ならば、走って撒けるか…。


酒場までの経路を確認すると、路地を曲がった瞬間に走り始める。

剣は抜かない。街中で門番に見つかった時弁明できる余地が欲しいからだ。


もちろんコロネもついてきた。二つの気配も距離を詰めて付いてくる。なら。


一旦塀を蹴り上がって屋根に上がり、裏路地に入る。そして家の隙間を抜けて表通りの人混みに紛れる。


これは上手く行った。コロネが追いついて肩に乗ってくる。


…しかし、相手が分からないのは不気味ではある。

目的と正体と対策を考えなければならなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ