ハポックでの休息
カヌイを出て数日、街道を南に向かう。
地図上ではもうすぐ、ハポックという村に当たるようだ。
「イグジさん、あれそうですね!近いですよ!」
コロネを連れて先に行っていたステラが、丘の上から手を振っている。
「今行く」
この数日、村に着く前に、交換できるものを増やそうと、狩りに力を入れている。
牙兎がかなり多いので、ステラと協力してなるべく狩りながらここまで来た。正直だいぶ重い。
せめて引き台を手に入れたいところだが、街道沿いとはいえ道も悪い。簡単にひっくり返ってしまうのでは使いようが無く、仕方なくバックパックと背負子頼りで頑張っている。
丘の上から見る村は思ったより近く、赤いレンガが立ち並び、小ぢんまりとしていた。
各家々から煙が上がり、かりそめではない人々の営みを感じることができた。夕食の準備中だろう時間帯だ。皆忙しいだろう。
さて、村にいよいよ差し掛かる。
「おい、旅の人、どっから来なすった?」
早速村の人の目に止まったようだ。
「カヌイから歩いてきたの」
「カヌイ?最近とんとそっちからは来ねぇから」
「ああ、やはりそうか」
カヌイで起きていた出来事はしばらく忘れられそうもない。村人は質問してくるが、核心ははぐらかして、滅亡していたことだけ伝えることにした。
「そうか、あの街、潰れちまったんか…」
ステラは早速、村人と飲み物を酌み交わしていた。
「その前はエバフにいました」
「おお、ワシもだいぶ前に行ったが、えーえ街だったのー」
打ち解けるのが早いな…。
自分にできない事をさっとやってのけるステラ。やはり尊敬に値する。
「ところで、道中肉を狩ってきたが、どこか交換してくれるところはあるか?」
「おお、そりゃ喜ばれるぞ!この村は見ての通り畑ばかりだからな、なかなか肉を狩る時間も若手もないでな」
そう言って気も良く村の中に入れてくれたのだった。
各家庭かに肉を配って回る。
新鮮な野菜と共に、村で育てたハプを挽いた粉と交換してくれたのがステラには嬉しかったようで、目を輝かせている。
俺にはただの粉にしか見えないが、彼女にはその先の料理、というか食事まで目に浮かんでいるようだ。
村の外で、セルテはコロネと散歩している。
一軒の家が、一泊の部屋を提供してくれた。
久々に、ベッドのある空間に寝泊まりできる。前回はゴーストの襲撃もあり、碌なものではなかったからな…襲撃の心配もないのはありがたい。
一応の警戒はしても、何事もなく夜を寝て過ごすことができる。
荷物を下ろして身軽になった後、ステラとセルテと離れて村で何かできることはあるか、家主に尋ねたところ、戸を直して欲しいとの事で、大工仕事を引き受けた。
確かに蝶番が外れかけ、うまく噛み合っていなかった。
一度戸を外し、位置を合わせ、付け直して調整する。
旅も良いが、こんなふうに頼り頼られやっていくのもやはり悪くない。
そんな事をしている間に、ステラが牙兎を料理してくれていた。
「ご飯ですよー!」
中に入ると、家主の女性とステラが仲良さそうに料理を盛っていた。




