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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第四章 ステラの章 竜の尾が降った街
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セルテとレクシア

「レクシア?」

セルテさんがそっと遺体に近づく。


私はイグジさんと顔を見合わせる。

「…」

イグジさんも黙って頷いた。


ただただ、黙ってセルテさん達を見守った。



「あんた、こんなになってまでお店を守って…。なんで…」

大きな瞳から涙が溢れる。


気がついたら私も、泣いてしまった。

私にできるのは、見守るくらいのことだった。




一刻ほどそうしてたけど、ついにセルテさんは立ち上がる。


「レクシア、客のくせに裏に入ってごめんね」

そう言ってセルテさんがお店の奥に入る。


私たちは、カウンターまで。

ここから先は、入ってはいけない世界だと思うから。



しばらくすると、昨日使った白水晶を持ってきた。

だいぶ手入れされていなかったのか、とても曇っていた。それを大切に、愛おしそうに、丁寧に拭き上げる。



セルテさんはロッドの先端の“怪鳥の拡声器”を取り外して…代わりに白水晶をロッドに嵌め込む。ちょっと大きすぎると思ったけど、セルテさんが何か呪文を唱えると、水晶がさらに凝縮されてちょうど良い大きさに変わる。


「レクシア、あなたの無念は私が引き継ぐ。あなたのお店はここで途絶えるけど、あなたの思いはこの水晶と共に。私はあなたを忘れない。あなたの誇りを汚さない。ここであなたに誓うわ」


昨日会ったレクシアさんの姿が忘れられない。

どうして。疑問が尽きることはないけど、前を向かなきゃ。一番辛いのは、セルテさんなんだから。



レクシアさんの亡骸は、三人でベッドに運んだ。


お店の奥に入ることはしたくなかったけど、彼女をカウンターでうつ伏せのままにしておくことはできない。一つ一つ、バラバラにならないように、服がはだけないように。あの綺麗な肌や肢体が誰かの目についたら大変だもの。


そのあと、みんなで手分けして探しても、“水竜の涙”は見つからなかった。


道中に立ち寄った『欲深い老婆』の店の跡地にも、私たちが寝泊まりした痕跡以外は特に何も見られなかった。



「昨日見たのは、“この街そのものの亡霊”なのかしらね」

「そんなことがあるんですね」

パパから聞く冒険譚、ママから聞く星の伝承には、そんな出来事は全くなかった。


「私も…初めて見たし体験した。聞いたこともないよ」

「先日の“コゴロシの森”ともまた違った、これも死者との交信てところかね」


薄々気づいてはいたが、イグジさん達との会話でいよいよ理解する。この街は滅亡していた。そう考えるべきなのだと。




「[円の中心]を探そう。それしか手はないだろう」

「…“支配者の館”、ですね」


「レクシア…間に合わなかったけど、あなたの無念は絶対に晴らすわ」



静かに、確かに、セルテさんの赤い瞳は光を放っていた。

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