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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第四章 ステラの章 竜の尾が降った街
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待ち合わせ

先読みを終えたセルテさんが回復するまで一休みする間、レクシアさんとセルテさんと私で、先読みの解釈を話し合う。


先読みは具体的に出る時もあれば抽象的な場合もあるし、今回のような比喩的なものもあるのだと、セルテさんが教えてくれた。


「『円の中心。その深部。支配者とその命の皮剥きに付き合わん。滅び、あるときはまた栄えんと、その命は尽きぬ。水の竜の灯火に導かれん』の[滅び]は街のことを指しているのはほぼ間違いないわよね」

「支配者は[竜]かしら。だとすると命の皮剥きは[代替わり]と考えるべきかしら。水の竜の灯火…」

レクシアさんの目線が私の胸元を捉える。


「ま、解釈のひとつね。あるときはまた栄えんの下りは[復活の予兆]なのか、[滅亡の回避]なのか…[その命は尽きぬ、というのは間違いなく救いの文言だわ」

レクシアさんが貴重な水を瓶から汲んでくれたので、セルテさんはグラス一杯たっぷりと飲み干した。


額からは汗が吹き出しているから拭いてあげたいけど、私布巾持ってなかった…。


「あの、円は何を指してるんですか?」

疑問に思ってたので聞いてみた。


「んー、単純に考えるとこの街にある『円』形の何かの真ん中、ということだけど。思いつくのは一つしかないね」

「旧市街の壁の中心、ね。その中心といえば…“支配者の館”…今は議会の会館だけど」


「いけるの?」

「街の民なら誰でも入れるわ。私が行ってみようと思う」


レクシアさん、きっとこの街のことが好きなんだ。

私もエバフや星の民の村がなくなると考えたら…それだけで心がざわつく。

何かしてあげたい。でも…


セルテさんをチラリと見ると、いつもの優しい微笑みで一言。

「あんたの思う通りにしなよ。イグジがいいといえばだけど、ダメっていうやつじゃないでしょ?」


「そうですね」

あの人なら、きっと何も言わずに手伝ってくれるだろう。


「ま、円の解釈も[住民]の揶揄だったり[街の象徴]だったり[単なる円形のモニュメントの真ん中]だったり、今の時点ではなんとも言えないからね」

だいぶ回復してきたのか、セルテさんが姿勢を楽に、頬杖をついて言った。


「悪かったわね、買い物もさせないで、思念の力を使い切らせて、得るものは私ばかり。このゴタゴタがうまく乗り越えられたら、お礼はなんでもするわ」


「期待してる」

立ち上がったセルテさんは、もういつも通り、背筋の通った凛とした姿勢で出口へ向かう。


「さ、セルテ、行くわよ?宿が埋まっちゃうと野宿になるわ」

「今はまずそんなことないけどね。湯浴みも食事もまともにできないかもしれないし。まぁ、その石があれはその辺のことは全部クリアできるわね」


「じゃあね」

「ええ、また」


あっさりと挨拶を交わして、セルテさんとお店を出た。


言われれば、居住区だと思っていた街並みも、そこかしこに店はあるのに全く開けていない。

食事ができるお店もなく、あっという間に『欲深い老婆』に着いてしまった。


ドアを開けると、ロビーでは、やっぱり酒屋を探してまともなところが見つからなかったようで、ガッカリという言葉がそのまま表情に現れたイグジさんが、待ち合い席の椅子石に座り込んでいた。

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