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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第三章 セルテの章 出逢いと別れ
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変わらない日常

街に戻り、まずは山猫の酒場を目指す。

私たちのホームでありこの街の原点だ。やはり落ち着く。


ステラはいそいそと、バジット夫妻の家へ向かう用意を始めた。今回の旅は思ったより時間がかかってしまった事もあり、心配させたくないという思いもあるのだろう。


イグジもさっと一緒に行く用意をする。

こやつ、本人が気づかないだけで絶対モテるだろ。

いや、逆に引くか。


私はここから別行動。道中ゲットした獣から取り出したちょっとした魔力素材で小銭を稼ぎに行くからだ。


山猫を出て左へ。いつものパン屋から、香ばしい香りが漂ってくる。

そんなに食いしん坊じゃなかったのだが、誰かに当てられ、この匂いが気になってしまうようになったなぁ。


ついつい匂いに釣られてチーズプールをひとつ。焼き立てパンの香りには敵わないね。


街をどことなくぷらっと歩きながら、パンを食べ歩く。

マーケットに行って換金して、マスターに賄いで料理してもらいたい食材を探して帰る。

そういや、だいぶ長らくお店手伝ってないけど、マスター過労死してないかね。


こんな日常も、ちょっと外に出て戻ると新鮮に感じるものだよね。


ーーキィー


「マスター、今日これよろしく」

「ん?おお、魚か」

小さく丸い、ぬめっとした芋の皮剥きに、筋骨隆々の大男が四苦八苦している姿を見ると可笑しくなってしまう。


だがそれもそのはず、ステラの付与魔法で切れ味と耐久を5倍ほど上げているのだ。

生半可『つるっと』やってしまったら悲劇が待っていると思うと慎重に行きたくもなる。



あの子は付与の効果は高いほどいいってまだ思ってる節があるし、鍛えてやりたいけどねー。


しゃあない、代わってやりますか。

「ほらマスター、私がやるよ」

2人で黙々と仕込みをする。

この平和な街の退屈な時間。あの子が来るまでの日常。


ーーキィィィ


「ただいま戻りましたぁ」


「おかえり」

そして、この子が来てからの刺激的な日常。


さよならをしなきゃいけないのかぁ。




この数日、だいぶ考えた。

好きな街、大切な子。


お得意の先読みもせず、自分で出した結論だ。

妥協なく考え抜き、捻り出したのだ。きっと後悔もするかもしれない。不安だ。先が見えない。でも…自分の心が、そうしたいと言っている。


「ステラ、イグジ、マスターも。ちょっといい?」


「はい」

「なんだ?どうした?給料前借りはお断りだぞ」





「………あんたらがよかったら、私をパーティに入れてくれない?」


これが、二つ目の悩みの答えだった。

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