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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第三章 セルテの章 出逢いと別れ
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探偵セルテの真相究明

ステラがいない夜、山猫は別の店と化す。


ーーはぁ…


誰だ今溜息をついた奴は。

マスターじゃん。メソメソしないでちゃんと料理してちょうだいよ!


あれから二日。調査は難航。ステラに聞いた道程だと、ぼちぼち運が良けりゃ相手と対峙している頃だけど、そればっかりはなんとも言えない。先読みしても確信が持てないのには理由がある。

動物の『意志』には思惑がない。

だからなんとなく、読めなくもないのだが、逆にその通りに動く確信も持てない。


今思うと、なんて不確かなものに固執していたんだか。


もはや過去の自分の思考の方が信じられない。

ステラに話したら、笑われてしまうだろうか。

きっと新入りのイグジに話せば、真面目な顔をしてどう答えようか考え込んでしまうだろうね。


その時、入り口の扉が開いた。


「よう」

アイツだ。


「早ければ明日あたり、手に入るかもしれないぜ」

「…!」


平静を装い、洗い物を続ける。

「へえ、仕事が早いね」


「俺は一人じゃ動いていないからな。…アンタがなんか嗅ぎ回ってるのもお見通しだぜ?」


ほら、気に食わない奴。

「じゃ、楽しみにしているわよ」


ステラが帰ってくる。たった三日会わなかっただけで、お預けを食らった四つ足の家畜のように待ちきれない自分がいる。

表情を崩さないように上手く立ち回らなければ。


要件だけ告げると、ランドルは振り返って立ち去っていった。





閉店の片付けの後、裏口からそっと店を出る。普段ならまっすぐ家に帰るが…

ーーカタン


付けられている。


撒く?捉える?

いや、私は魔術師で呪術師。

今は夜。しかも闇の広がる時間帯。ここは私の独壇場だ。


『我が心の澱みよ、闇を擦り付ける対象を見つけたり。

 我が後方60歩、影に隠れて我を狙うものなり。

 我が闇にて我が敵を捉え、深淵の泥に連れ込まんと欲す。』


ーーとぷん…


捉えた感触が手に重みとなって現れる。


「へえ?アンタも仲間だったんだ?」

そこにいたのは、粘り気のある闇で押さえつけられたバレルだった。


「なんのことかね?」

「いいの?」

「だから何がだよ」

「アンタの彼女、目が悪いんだろ?」

「…なんでそれを…」


「彼女の父親、アンタを信用してないのかね?ランドルからアラガンの飾り羽根を買うってよ?」

「おい、なんだそれ、聞いてないぞ?」

次第にバレルの顔から悪い人相が引いてゆく。


「しかも8マレルときた。普通、そんな金額払うくらいなら娘の彼氏に依頼して、娘にいいもの買ってくるわよね」

「やめろ、やめてくれ…」


「アンタがアイツとどんな約束してるのかは知らないけどさ。アイツはアンタの知らないところで、アンタにも、アンタの周りにも碌なことはしないよ」

「……すまん、冷静になった。いかようにもしてくれ」


「私を付けてた理由は?」

「奴に雇われた。稼ぎが必要だったのはアンタも知ってるだろ?」


「別にいいわ。明日、ヤシマンバの取引があるって聞いたけど、なんか知ってる?」

「…詳しくは言えないが…」

「知ってることだけでいいわ」

「別の採集屋に取りに行かせて、奪うようだ」


やっぱりそうよね。

「どこで知ったの?」

「何人か、協力者がいるからな…俺みたいに上手く転がせる連中が…」

「だいぶ羽振りいいみたいだもんね」

「今日、早便で、その採集屋がヤシマンバを獲った情報が入った」

「…!」二人ともやるじゃん!


「で、持って帰ってくるほどのメンバー人数でも体力もないようだったからな」



次の一言は、聞きたくない言葉の最上位に近いものだった。



「運搬屋のふりして近寄って、殺して奪っちまおうってさ」



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