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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第一章 ステラの章 エバフでの日常
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夜のお仕事

さて、お店を手伝おう。


「ステラ、洗い物お願い!そろそろ足りなくなりそう!」


いよいよ時計の針が10を越え、死神がマントを羽織る時間が近づいてきた。営業終了まで2時間。お手伝いをするだけでタダで泊まらせてもらえるんだから、こんなにありがたい話はないよね。

あ、洗い場のお皿が天井に届いちゃいそう。よーし、頑張ろう!


薪から剥いだ木の皮を片手に広げ付与を授ける。

いつもの慣れた作業。胸に当てた手に意識を向けて、心の水面に水滴を落とす。


「クルル…アリウ」  …耐久力を向上せよ

「アキア…クア」  …水を纏え

「テキ…ロイル…エダ…エキア」  …標的を油汚れに定め拭き清めよ


揺れた水面に広がる波紋、その中央を摘んで引き上げるように立体的に思念を展開。よし。術式が完成した。


茶色の木の皮が少し光を纏うと準備は完了。では、さっさと洗っていこう。


一刻ほど洗い物を続けていると、本日のオーダーをストップしたマスターがカウンターで一休み。


「相変わらず、魔術の効率がいいな」

「ありがとうです」


みんなそう言うけど、自分ではよくわからないんだよね。


ちょっと鼻歌がこぼれそうだったので恥ずかしいなぁとか思いつつ、今度は拭き上げ。


「クキア…クア」  …空気を纏え


紙煙草の煙を外に吹きながら、マスターがまた聞く。


「それなんて言ってるんだ?」

「んー、自分では普通に話しているつもりなんですよね」

「側から聞いてるとまったくわかんねぇな」


世の中、再現可能な魔術、つまり生活魔法のレベルなら半分くらいの人が使える。でも、こんな言葉遣いでなく、『おお木の皮よ、星の思念よ、私の祈りに応じ力を与えたもう…』みたいな感じ。

ある程度簡単に、言葉の中に意味があるんだろうなとは思うけど、言っている本人がよくわからないからなぁ。


食器も大雑把には完了。

掃除をセルテさんとしたら、屋根裏の私のテリトリーに移動。


「んん…」

大きく伸びをすると、どっと疲れが出てきた。

んー、体を拭きたい。


借り物のタンスからタオルを出して服を脱ぐ。


「あ、今日は満月かぁ」


屋根裏の換気窓から見える、青く輝くまん丸な月が、今日も静かに街を照らしていた。

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