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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第十三章 セルテの章 王国の未来と天の声
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爆弾処理は慎重に。

演説を境に、流れは変わった。

演説までしておいて、選挙に不正云々言えなくなった長老たちが必死になる様子を眺めながら、わたしは王都に引き上げる。




王都では、ステラがわたわたとしていた。




「まったく、この数日、私まともに休めなかったんですから!」

確かに、目の下にクマができている。


ゆるして。ハグするから。


「むぅ、そんな抱きついてきても許してあげません!」

その背中の向こうでは、ステラの気持ちを代弁するようにコロネも立ち上がって姿勢正しく私に反省を促しているようだった。


…仕方ない、アレを出すか…!


私は今回旅で持って行った小型のリュックによく入っていた、と思うほど大きな、ある塊を取り出す。


「そんなもので釣ろうったって…」


「んん?この香り…?」


ステラの顔色が次第に疲れ→怒り→興味→興奮と変化していく。


「わーー!これ塩漬け生肉の原木ですか?ですね!」

キラッキラした目で、一人で質問して自分で答えている。


そう、帰り際、リディアのところで買ってきたの。

私たちの世界で買うと、何気にとんでもない値段なんだけど、こちらだとなんと宿二泊分くらい。


絶対にステラが怒っていると思った私、手土産は忘れない。


気がつけば楽器を奏でるように慎重にスライスしているステラ。どこから出したのか、果実を切り分けその上に載せてパクリと食べていた。


「これ、やってみたかったんですよぉ…」

顔が蕩けていた。


そしてなんなら私にもお裾分けしてくる。君の怒りはどこに行ったのかしらね…。

この単純さと切り替えの早さにはいつも救われる。


あ、コレ、美味しいのね!


多分。果物の中でも最高峰の甘さを持つ果肉に塩味が乗っかり、熟成肉特有のねっとりとした食感がまたなんとも…!

その肉からは鼻に抜ける絶妙な香り。

こんなに大きな果肉の上に数枚じゃバランスが悪いと思ったけど、逆ね。コレくらいじゃないと果肉の旨味の方が負けちゃうわ。


二人で蕩けた顔をした後、改めてごめんねを伝えると、素直に許してくれた。



「…で、王都はどう?」

「不正の目を潰しただけで、他は特に問題はないですよ」

そういう目が笑っていない。

この子はやる時は徹底的にやるからなぁ…。ちょっと相手に同情する。




でもあとは、いよいよ当日を迎えるだけだわ。


ここまでやってきたぶん、私たちはなんだかとても高揚していた。

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