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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第三章 セルテの章 出逢いと別れ
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探偵セルテの聞き込み調査

ヤシマンバの件で、私は私なりに動くことにした。


あの娘に危害を及ぼす意図を持つ者がいるのではないか。

それは、確信に近いものだった。


人の感情や思惑は先読みで図れない。

思惑や信念のもと行動した結果、先読みは変えられるものだから。


なら、ステラがその信念を曲げずに全うできるよう、陰ながら手助けするのが、私の信念なのだ。


まず、ヤシマンバの納品先。

ステラはそういう情報を明かさない。誰かの不利益になることを理解しているから。


なら、状況証拠を揃えるまで。


「私の情報網の出番ね」

と言っても、自分の能力に驕り、人と関わらないできたツケを払わなければならないね。


山猫の常連で、食材に通じているのが2人。


昔から山猫に通うアノマ爺さんと、新しく常連になったエンバック爺さんだ。


今日は遠征に行く前の買い物だと、相方と和気藹々、街に出ているステラのために、エンバック爺さんの店に顔を…ステラいるし。


そこには、見たこともない調理法の新メニューを試し、舌鼓を打つ2人の姿があった。



さっき影で動くと決めたばかりでこれは何となく恥ずかしい。

順番を入れ替え、アノマ爺さんの商会に顔を出した。


「おいおい、旅に出る気もなさそうな顔がこんなところにあるぞ?」

「うっさいわねぇ…」

でもそんな軽口の応酬も嫌いじゃない。


「あのさ、今どこかでヤシマンバの需要があるの?」


爺さんは一瞬考え、答えた。

「あーー…貴重だからなぁ。いつでも需要はあるんだよ。皮も骨も毒牙も耳石も探知器も頭蓋も何もかも。それに生殖器なんか雌雄問わず媚薬の素で滋養の薬の原料だ。喉から手が出るほど欲しがるジジイがわんさといるだろうよ」

「あんたもそのクチ?」

「うるさい小娘」

小気味良いやり取りの後、爺は別の客の応対に向かっていった。


…生殖器だけは私が買い取ろうっと。


でも、別に誰かが買い取りを希望しているわけではないのかな?



改めて、エンバック爺さんの店に行ってみる。

どうやら2人はもう店を出た後のようだった。


「おいおい、同伴でご出勤かい?」

「それならこの店質に入れなよ」

「こりゃ参った、まだ稼ぎが足らなんだ」


そのキャラクターの濃さは並み居る古株の常連に負けず劣らず、アクの強い食わせものだ。


「いま、どこかでヤシマンバの仕入れ強化してる問屋はあるかしら?」

「んん?」


この後の反応は予想がついた。


「いや、いつでも欲しいが出回らん。出るときゃ総出の奪い合いよ」


そうだよねー。

じゃ、別のところになるわけだ。


なんとなく、私にはもう読めていた。

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