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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第十二章 イグジの章 消えた王国と隠された世界
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パーティからの離脱

二日後、俺たちは旅支度を進めていた。


ちゃんとした外出は十日ぶりだろうか?

「準備はいいか?」

「ああ。行こうか」


俺たちパーティと同行するのは、リングラットとその部下たち。

これから向かうのは、王都の外側郊外である。


この国は二階層になっていて、王城のある王都とその他の国土がまた別の次元で繋がっているのだ。国土の方にも主要な街が五つあり、それらの街まちをこれから巡る。


メンバーは、俺とサイト、そしてリングラットとその部下たち。

約ひと月に渡る行程には、あえてステラとセルテは同席しないことにした。


「本当に良いのか?このままだと、おそらく王はひと月持たないぜ?」

「王様の御崩御など恐れ多くも口にできるか!…それに、そなたらの女子たちがもしかしたらもしかするかもしれんのだろう?」

「そうだな」

「なら、それを期待して、王に与えられた使命に命を賭して挑むのが臣下としての務めであろうが」

「へぇ、臣下として最後の務めになるかも知れねえのに殊勝だな?」

「だからこそだ。用意ができたのなら行くぞ!」

「ああ、行こう」




こうなったのは、昨日の話し合いからだ。



少し時を巻き戻して、王に、昨晩の話し合いの結果を伝えたところから始めようか。


痛快に笑う王。

その後ろで、大臣たちは今にも殴りかかりそうな顔でこちらを見ていた。


「そんな目で彼らを見るでない。主らは何か、策はあるか?」

「いえ、ございませんが…」

「知らぬ国、知らぬ民、知らぬ土地で王として民に尽くせ、などそもそもありえんだろう。九割九部、断られることを想定しておったわ。…だが、まさか国を潰させろ、とはな」

そう言うと、また王は大笑いをする。


「だが、真剣に考えて、その答えを導いてくれた。感謝しかあるまい。」

「ですが…ですが…!」

「私が六千数百年、治めた国が滅びるのが悲しいか?」

「それもちろん…」

「だがそれで行けば、私以外の人間が王として君臨することを其方らは認められるのか?」

「うっ」

「形が違うだけではないか。私はこの者らの提案に乗るぞ」


「あの、すみません、私、もう一つやってみたいことがあるんです」

「なんだ?申してみよ」

「王様は木になられることに抵抗はないのですか?」

「ふふ、もうその次元ではない。受け入れておるからな」

「…じゃあ、私たちが最後に悪あがきをすることをお許しいただけませんか?」

「…ちょっと、ステラ?」

「私は、六千年も責務を担ってきた立派な王様が、最期に人として逝かれる、そんな筋書きがあってもいいと思うんです。お願いです。私たちに最後の努力をさせていただけませんか?」

「…そっか、そうよね。やりますかね」


「そなたら…!」

大臣は驚きの顔を見せていた。

「良いのか?私が、それを期待しても良いのか?」

「もちろんだめでもともと、だと思います。でも、挑戦だけでも」

「喜んで。皆のもの、よいか?」


当然のごとく、大歓声だった。皆、王のことが好きなのだろう。

なら、この提案はまさに最後の最後に差し伸べられた、希望の光。


「では、この者らのすることに惜しみなく協力をさせよう」

大臣であるヤズグットの指令に、異論は全くなかった。



こうして、俺とサイトは地方に体制を変えるための下準備を、ステラとセルテとコロネは王の治療を、それぞれが分担して取り組むことになった。




「じゃあな、セルテ、ステラ。次会うときはひと月後だ」

「二人とも気をつけなさいよ?」

「いってらっしゃい!よろしくお願いします!」

「…下の国土、猛獣いっぱいらしいわよ?」

「へへ、俺の曲刀の餌にしてやるよ」

「餌にならないようにお気をつけて!」

「おい、リアルなこと言うなよ!」


「はは、そこらへんにして出発しようか」



久々に、ステラとセルテのいない旅立ち。

魔術と付与のない中だが、最大限に力を発揮してこよう。

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