最初の夜
賑やかな街並みの中を、ある程度人目に触れないように気にしながら、俺たちは一団で歩く。
一応金は持ってきたが、果たしてこの世界で使えるのだろうか?
早速サイトが露店に顔を出して何気なく切り出していた。
「いらっしゃい」
「すまん、最近遠くから来たんだが、金の単位って変わったりしてないか?」
「へえ?珍しいな」
「俺の地域ではこの金使ってたんだが…」
「なんだ、アンブか?使えるぞ!」
「ちなみにこの焼き物一つで?」
「4リブル」
「よし、五つ買うぜ!」
「気前がいいな、よし18リブルでいいぜ」
「最高だな、じゃあ六つ買うから20リブルで頼めるか?」
「あいよ!また来な!」
随分物価が安いな。
「そういや、ここに来るの初めてなんだが、入国税とかあるかい?」
「いや?特に無いぞ。そもそも外からの流入がほとんどないからな。あんたら外からかい?楽しんでいきな!」
「ふぇぇ、わけわかんない間に情報を得てますね」
「対外交渉の下手な俺たちには最高の新メンバーだな」
ついでに確保した飯を夕食にしながら俺たちは宿を探す。
「別に外界から完全に遮断されてる訳ではないんだな」
「個人レベルでは、ってところなのね」
「あ、この焼き物美味しい!」
そう言われると俺も焼き物にかぶりつく。
ーパリッ…ザクッ…
なんとも噛み心地の良い食感に、甘辛いソース。中に入っているのは久し振りに食べる魚が入っている。抜かれて小骨も気にならないほど柔らかく、よく噛むとワタが程よく苦味のアクセントを与えてくれる。
これは初めて食べる味だな…!
葉野菜が食感とみずみずしさを与えてくれている。栄養もバランスが良いだろう。
何気ない食事に感動しながら、俺たちは宿を探す。
やっと見つけた宿屋は逆にかなり高額で、素泊まりで死者の海周辺の倍額を超えた。
まあ、確かにあまり外から人が来ないのでは仕方がないだろう。
布団は柔らかくマット入り、暖かい毛布がついていた。
「そういや、夜になっても暖かいな」
「季節や気候も全然違う法則なのかもな」
別部屋の女性陣とも合流して、明日何をするか、俺たちは考える。
「まずここに来られただけで楽しんじゃってるわよね」
「それもそうですが、せっかく来たんだから色々楽しみたいですね、お買い物とか!」
「楽しそうだなオイ」
「荷物持ちに来てもいいわよ」
「はは、それもいいけど俺は武器屋を除いてみたいんでな」
「…確かに気になるな、武器」
「行くか?相棒」
「それじゃ、午前中は各自観光、昼にここに集まった後食事して、午後は何か面白そうな話を収集しにプラついて、夜は酒屋ってのが俺たちらしいか」
「賛成です!」「いいわよ」
「よーし、明日の夜は飲むか!」
まずは旅の成功を祝おう。ここまでうまく来れたんだからな。
だが、俺たちは忘れていた。
入り口で、侵入者を排除するためのトラップがあったということを。
…それはつまり、来訪者は歓迎されるだけでないということを。




