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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第二章 イグジの章 新しい日常
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収穫の夜の宴

いや、よく思いつくものだ。


その運搬能力を超えるモノの持ち帰りに、彼女はこう提案した。

「ヤシマンバの伸びる大きな胃袋をひっくり返して、肉を全部詰め込みましょう」


……。


「それでも、移動できないほどの重量になるぞ?」

「私の付与魔術、明日にはだいぶ回復しますから、それで重量を軽減しましょう」

「それならさっきここまで運ぶまでにも多少なりと使えたのでは?」

「残念ながら…今思いつきました」

「疲れ損じゃないか!」

終始彼女のペースだ。


……。


「それで、さっきはいだ皮を被せれば…」

なるほど、大きな蛇が歩いているように見せられるかもな。


……。


「その皮も、街では大金になりますよ」

「確かに、見事な柄が浮き出て、いくつもりバッグや靴ができそうだ」


なるほど、身も使い、皮も使い、余すところなく利用できるわけだ。


だがひとつ問題があった。

今晩は寝られない。間違いない。


だが…

「……。」

ステラはもはや起きているのも限界で、しゃべるために目を覚ましては、一言話すとまた寝てしまうほど疲れていた。


ステラを抱き抱え、テントに運び込むと、ものの数秒で寝息が聞こえてきた。


今日に限っては、炎を切らすことはない。索敵範囲を最大限に広げて警戒に努める。


「ほら、満を辞して役者が現れるぞ」

独り言を呟き、支度を始めた。


まずは、先ほど溜め込んだ大蛇の余分な部位を湖に投げ込む。

しばらくすると、湖に大きくゆったり、波紋が立ち始めた。

『マーブル』だ。水棲の巨大な野獣で性格は凶暴、体の一部が水から出ない範囲で水面から飛び出してくる。


陸の方でも、数十はいるであろう野獣どもが、血の匂いに当てられて集まっている。


俺も、ここでは遠慮することもない。


口の中で呪文を唱え、まずは地を這って斬撃を巡らせる。


ーーぎゃいん!

何匹かに当たった音がする。

それを皮切りに、一匹、又一匹と明かりの範囲に姿を現す。


「俺はもともと獣は専門じゃないんだわ」

言いながらも走り、確実に仕留める一撃を放っていく。


秘策はこれだ。

噛みついてくる獣を湖に落とす。


ーーガァぁぁ!


マーブルが襲い掛かり、水面に大きな飛沫が上がる。

頼むぜマーブルたち。俺とお前たちの共同戦線だ。


何があっても、この先のテントには行かせない。

そこにいく奴は生かさない。

そのために使えるものはなんでも活かしてやる。




月がやけに赤みがかって、月夜のショーを照らしていた。





赤い石が、俺に力を与えてくれたのかもしれない。三刻は優に暴れ回ったが、思念の力が切れることはなかった。


一通りの獣を切り伏せ湖に落とした後、やっとのことで口をつけた水筒から口に流れ込んだただの水は、これまで飲んできた飲み物の中で最上の味がした。




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