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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第十一章 イグジの章 死者との戦い
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死者の行き着き場

「そういや、いつの間にか後ろについてくる気配が消えたな?」

「言われれば確かに」

「そういえばそうね?」

俺たちの落ち着かないポイントはそこではない。ないが、もしかしたら関わりがあるのか?

振り返ってセルテの顔を見ると、同じことを考えている様子だった。


「そんなの、もうどうでもいいんですよ」

にっこり笑うステラの笑顔が薄ら寒い。


「ところで、どこに向かっているんですか?」

「そうか、ステラには伝わっていなかったか」

「昨日その話の前に部屋に戻っちまってたもんな。これから行くのは『死者の行き着き場』つって、死者の海の伝説でいなくなった連中が、最期に発見されることが多いところなんだとよ」


「へえ、そうなんですね?…」

「ん?何か言った?」

「いえ?」


ステラの近くにいた俺には対策もはっきりと聞こえた。

「手間が省けたわね」と。


「それで、なんでこの辺によく出没するんだ?」

「さあな?だが、死者たちはあちこちで発見されるんだが、大体『自分が本物の自分だ』みたいなことを言ってドロンと消えるっていうだろ?」

「そうね」

「ところが、ここにくる死者は、大体何かを探していたり、どっかに向かって歩いて行くっていうぜ」

「他の地点で見つかる死者との様子が違う?じゃあここに何かがあるってことね」

「………」


ステラは迷うことなく、スタスタと石の隙間を縫うように歩いて行く。

「ちょっと、ステラはやい!」

「そうですか?頑張ってくださいね」

「くそ、めっちゃ身軽じゃねえか、嬢ちゃん」

「彼女は体力はないけど冒険で短距離だとあんな感じで身軽なんだ」

「…舐めてたぜ」


「ステラを侮っちゃダメよ?多分殺傷能力は一番低いけど、自然の知識を使って考えられない距離の獲物を弓で仕留めたりしちゃうんだから」

「マジかよ!ナイフしか見たことねぇよ!」

「さらになかなかの付与魔術をあっさり短縮詠唱で重ねがけするものののもお手のものだ」

「付与魔術ってのは例のあの…」

「そう、あのナイフの切れ味よ。物にかけたらほぼ効果が切れない法則無視っぷり」


「洒落になんねぇな」

「多分呪術の素養も持っているけど、それは学びたがらないから教えていないわ。私が教えても言語が違うみたいだしね」

「想像以上にヤベェな」


今の彼女は何をやらかすかわからない。俺たちはそのステラを警戒しているのだ。

そんな話をしている間に、危うく見失いかける。

とにかく、移動が早い。


一刻ほど、なんとかついて行くと、何か石の前にたどり着いた。


「あんた、ここ知ってるの?」

「いえ、直感です。ここにこうして手を当てると…」


ーパキッ…メキメキメキ…


音を立てて、石が転がって、ドアが開いたように小さな空間がそこに空いた。


「何ここ!あ、ちょっと!ステラ!」

セルテが予備魔術を構築する前に、ステラは一人で入って行ってしまった。


「…クソ、長刀じゃ狭いところは不利だぞ」

俺はナイフを抜いてサイトと共に追いかける。


「まあまあ、俺の曲刀はこういうところの相性いいからよ」

「そうだな、助かる」

「私はここを守るわ。閉じ込められたら全滅しちゃう」

「よし、頼む」

「ちょっと待って、松明を作るわ」


燃えにくそうな枝に着古した服と良く乾いた枝を混ぜ込んで巻きつけると、さっと魔術で火を起こす。

「はい、お願い!」

「よし、行こうか」



俺たちはステラを追いかけて進む。だが、全然追いつかない。ほんの数分の差なのに、どれだけ先まで行っているのか…。


「暗いな」

「松明がなければない見えないよな」

「ステラはいくつも魔力素材を持っているからな、発光する素材もあるかもしれん」



ふと気づく。

「なあ、この足元でさっきからガラガラと蹴飛ばしているの…」

「多分人骨だ。とんでもない量だな」

「これもしかしたら…九千年ぶんの行方不明者か?」

「あり得る」

死者には申し訳ないが、足の踏み場もない。最低限にとどめながら、俺たちは進む。


松明の光すら効かない暗闇を、泳ぐように進む。ステラを見落とさないためにも、時間をかけて、慎重に。


ほぼ一方通行、横道もない一本道。だが、突き当たりまで行ってもステラはいなかった。


彼女の姿を探しながら戻るが、やはり見あたりはしない。


出口では、セルテが心配そうに見守っていた。

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