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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第十章 ステラの章 地竜の山と死者の海
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サイトさんとの旅

「ご無沙汰してました!」

「結構早い再会だったな」

「全くだ」

イグジさんとサイトさんは、何か男臭い再会のハイタッチをしていた。


「てっきりもっと遠くに行ったもんだと思ってたけどな」

「色々あってね、このあたりをぐるりと周回する羽目になってたのよ」


「へー、じゃあ、この先のエル・ブランコの街にも?」

「私たち、そこでしばらく滞在してましたからね」



「…この辺、色々大変だったらしいな」

そう言って、橋を見上げるサイトさん。

この橋、私たちが掛けたんだよ、って言いたい。声を大にして言いたい。



「だいたいその『大変』の大半に関わっていたと思うぞ」

「そうね、本当に…」

「サイトは街道の北西にある森が霧だらけなの知ってるか?

「ああ、『迷いの森』だろ?みんな入らないって有名だぞ」

「そうなのか、俺たちは知らなかったからな、入ったらワヌルだらけだぞ、あの森」


ふふ、やっぱり、イグジさんはサイトさんと絡むとお喋りになるよね。


「で、アンタは何でこっちにいるの?西の方に商隊キャラバン捕まえに行くって言ってなかった?」

「いや、それが、ちょうど捕まえたのがハンドの街向かう集団でな、出戻りになっちまって。まあ、良い稼ぎになったんだけどな」


そう言って、腰元の曲刀を自慢げに見せてくれる。


「…そういや、イグジ、アンタの武器はどうなったんだ?」

「…見るか?」

あ、イグジさん、自慢したそうな顔してる!


イグジさんは長刀を渡す。


「そうか、剣、辞めちまったのか…」

「その刀身よく見てくれ」

「…なるほど、剣士より剣にこだわったんだな」

「これが存外、俺にあっているようでな。手合わせするか?」

「いや、俺の剣の技術じゃ瞬殺されちまうだろ?」


子犬のようにしょぼんとするイグジさん。可愛い!


「で。ハンドの街に戻ったら、南に突然大河ができた、今度は噴火だ、ってな。見送った仲間の行き先にそんな事が起こってるんだ、びびるだろ?」

「じゃあ、私たちを心配してくれて?」

「…悪いか」

「いや、いい。あんた最高だよ!」


照れるサイトさんに飛びつくセルテさん。サイトさんたら、顔が真っ赤だよ!



「てことで!無事が確認できた訳だが…さっきから気になってたんだが、この橋の名前…」

「気づいちゃいました!?」


思わず飛びついた。

もう、すぐ語り始めたね。一刻半ほど語ってやったね。




エル・ブランコの街に、共に向かいながら、私たちは話す。


「ハードな旅だなー。そんで、あの橋を完成させたってか」

「もうね、みんな泥だらけよ。色気も何もあったもんじゃなかったわ」

「そうだな、セルテもステラも、真っ黒になってな」

「イグジさんだってひどかったですよ!」


私たちの冒険を、楽しそうに聞いてくれる。

飄々としている割には、とても人懐こくて、優しい。


私たち三人とも、すっかりサイトさんのことが大好きになっちゃったね。


快適なテントにも入れてあげて、美味しくご飯もご馳走してあげて、一緒にエル・ブランコの街に向かうこと数日。

この前、みんなで水浴びした川を渡り、もう少しで街に着く。


「あのさ、アンタら、この先はどこに行くか決めてるか?」

「いや?」

セルテさんが答える。

「まだ特に決めてないわ。こんなにとんとん拍子に進むと思ってなかったのよ、今回の旅。しばらくのんびりしようかと思っていたんだけど」


「じゃ、早めに次に行ったほうがいいぜ?この街から南の砂漠は、向こう三ヶ月はひたすら光が照りつけて雨が降らない時期になる。まだ辛うじて雨が降るうちに抜けちまったほうがいい」

「ええ!そうなんですか?」

「それに、今なら俺がついてくるぜ?」


そう言って、サイトさんは笑顔を浮かべた。

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