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ひたむきステラと星の竜  作者: KEY
第一章 ステラの章 エバフでの日常
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大好きな風景

「はい、いつものね」

「ありがとう、セルテさん」


肉詰めとカラン鳥出汁の野菜スープ、ジンジャーソーダを置いたセルテさんにお礼を言う。


「ありがと!…わあ、今日の肉詰め、3色なの!?いいの!?」

「おうよ、貴重な卵を取ってきてくれた英雄に今日は俺から奢りだ」

奥で樽酒からコップにお酒を注ぎながら、マスターが人の良い笑顔を向けてくれる。


いつもの茹で腸詰めだけでなく、焼き、それに燻製まで!

そのままかぶりつきたい衝動を抑えて、まずは祈りの言葉を。


「命の巡りに感謝を」


フォークでツプリと刺すと、早速肉汁がほっぺにぴちちっ!

それだけでもう、嬉しくなっちゃうよね。


さあ、まずは茹でからー


パキンと音を立てて弾けるように折れた半分を噛み締める。

旨味の滲み出たスープが舌の上を流れ、鼻に抜けるは圧倒的な肉とハーブの香り。


「んーーーーー!」声にできないこの喜び、とりあえず拳を振ってアピール。


「はっはっは、ステラちゃんは食わしがいがあるんよな!」

マスターが嬉しそうにこっちに顔を向けてくれたので笑顔を返そう。


次は燻製。さっきのとはまた違った、なんて素敵な香りなんだろう!香木はヤマクスかな?ふるーーーい麦酒の樽のような、ホッとする香り。

噛み切るのすら勿体無いなぁ。ああもう、神様竜様、私は今幸せです。

少し塩味がちな口の中を、ジンジャーソーダの辛くて甘い風味が洗い流す。


ふう、ではいよいよ本命。

一際迫力のある逸品をガブリ。燻製とはまたちょっと違う、炭の香ばしさがたまらない。茹でとも燻製とも違う、凝縮された肉そのものの旨味が口の中に溢れ出す。

もう一口。どうしよう、すぐなくなっちゃう!

私、美味しいもの大好きなのに、量は食べられないんだよね。

よし、ここでスープを…熱っ!

だいぶ冷ましたつもりでも、猫舌にはつらい。


気持ちよく肉詰めを完食して一息つくと、私の隣の席に誰かがやってきた。

ギッ… 木製の丸椅子が軋んだ。


「姉ちゃん、うまそうに食べるねぇ、ほら、ソーダなんか飲んでないで酒飲みなよ!」


知らないおじいさんがお酒を勧めてくれる。

うーん、私お酒強くないんだけど…。

あー、でも、真っ赤っかになって、気持ちよく酔ってるんだろうなぁ。


断り方を考えていると、たまに相席するアノマさんがやってきた。


「爺さん、ちょっと待った」


なんかよくわからないけど、おじいさんとアノマさんはお話があるようだった。


「ステラ、アンタは知らなくていいよ…」


セルテさんがなにやら呆れ顔で言った。

アノマさんはおじいさんを連れてちょっと離れたところで話していたけど、少しすると…


「セルテちゃん、こっちに麦酒2つ!」

「あー、ハイハイ、ほら、ステラに変なことすんじゃないよ!」

「「ステラちゃんに乾杯!」」


おお?呼ばれた気もするけどまぁ、いっか!

こうして、大好きなお店では今日も大好きな人たちが楽しく、おいしく、賑やかに夜を過ごしていく。

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― 新着の感想 ―
[一言] 食べ方の描写がとても素敵です。読んでいるこちらもお腹が減ってきました。とても参考になります。続きも楽しみに読ませて頂きます。
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