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Rayという兵器は

 しばらくの間、何も話すことがなく黙っていた。オレのヤロスラフ王国に行ってからの話をしても良いのだけど、それだと自慢話みたいになって、きっとマリヤ様は自分の境遇と比べてその落差に落ち込んでしまうと思ったから。オレにしても決して楽して、男爵になったわけではないけれど、今のマリヤ様に比べれば、境遇が違い過ぎると思ったから。


 何かこの暗い空気を打ち破りたいと思ってミワさんの顔を見ていたとき、ハタ!!と思い付いた!

「ミワさん、マリヤ様に本を見せてあげてよ。あの、確か、Rayだったっけ?」

 一瞬ミワさんは「?}という顔をしたけれど、ハッとした顔をして自分の魔力袋からRayを取り出した。


「マリヤ様、こういうモノを見られたことはありますか?」

 ミワさん、マリヤ様が見たことないのは百も承知で訊ねる。その上から目線がなぁ、さっき娼婦ってコトがマリヤ様の心の引っかかりを生んだことを気にしているのかも知れない。得意満面の顔だと失礼だと思ったのか、ミワさんはちょっとだけ目の辺りが自慢気にしている。だけど、とにかくミワさんがRayの表紙をマリヤ様に見せると、

「「「えっ!?」」」

 マリヤ様だけでなく、ゴルドン夫妻も覗き込んで驚く!!


「これって絵なの?この女の人たち何?これは服なの?どうして脚を出しているの?お腹を出して、頭がおかしいのでは?この手に持っているのは何?この人、男?女?」

 もう、期待通りの反応をしてくれるマリヤ様!目を見開いて、ギンギンに見ている。Rayを手に取ろうとするのをミワさんが阻止して、高く掲げる。ミワさんはすべてがお子ちゃま体型だけど、背はマリヤ様より少し高い。胸は......すでに負け気味だ。


「もう!!見せて、見せてよぉ!見せなさい!」

「ふふーーん、丁寧に扱うって約束して頂ければお見せしますよ!これって前にいた世界から持って来た本なんです。貴重な1冊ですから、大事に大事にしているんです!この世界にこれ1冊しかないんですよ!見たいですか?約束しますか?」

「分かった!分かったから、お願いします!大事にします!見せてください!マリヤに見せて!その本、マリヤに見せて!」

 お嬢さま感満載で、ずっと今まで上から目線でモノを言ってたマリヤ様が、急にお子ちゃまになってしまった。恐るべしRay!


「では一緒に見ましょうね!」

 そう言いながらミワさんは、ゴルドン夫妻にも見えるように、4人の真ん中に置く。するといきなり、

「こ、こんなふしだらな格好で!まるで......」

 ゴルドンの奥さんのボルカさんが「娼婦のような」と言いかけて口ごもった。よしよし、良い傾向だろう。


 何を見てかなぁ?と思ったら、モデルさんが膝上20㎝もあろうかというスカートを履いてるだけだった。次のページもやっぱり短いスカートで3人は絶句している。この反応ってどこに行っても同じだなぁ!と思っていると、ミワさんもこの反応を楽しんでいて、パラパラッとページをめくり、水着のページを開いた!

「キャッ!?」

「まっ!!」

「わっ!!」

 三者三様の悲鳴が上がった。ゴルドンはやっぱり男だなぁ、という反応なんだがボルカさんは目を見開いて、目玉が落ちるんじゃないかって心配になるくらい。マリヤ様は、興味津々で穴が開くんじゃないかと思うくらいに見つめ、目線をミワさんに移して、

「これってミワ、さん、いえミワ様の前にいらした世界では当たり前なのですか?」

 と訊いてきた。


「ええ、普通ですよ」

 ミワさんが平然と答えると、

「それなら、ミワ様もこのような格好をされていたのですか?」

 おおおお、痛いところを突いてくる。Rayモデルとミワさんの体型を比べて良いのか?モデルはモデルでミワさんはミワさんだぞ、と言いたいが、そこは余計な口出しをせず、黙ってミワさんの反応を待つ。ミワさん、こんなきわどい水着は着ていないでしょう?だってねぇ、ちょっとお胸とお腰が残念だもんね。


 しかしそこは女としての見栄が優先したのか、

「はい!しました!友だちと海に行ったら、みんなこういう水着に着替えて」

 とない胸を張って、ミワさんは言いながら他のページをめくると、それはもう可愛いモデルさんがいて、極小面積の水着を着ていらっしゃって、それはまた美味しそうなモノを食べていらっしゃる。

「ダメ!?」

 とっくの昔にゴルドンは脱落していたが、ついにボルカさんがリタイヤする。しかしマリヤ様は違うモノが気になったようで、

「海って何?」

 マリヤ様が訊いてきた。そうだった、ここから海は遙か彼方。マリヤ様は普通に生きていれば一生、海を見ることはないはず。

「マリヤ様、聞いたところによりますと......」

 なぜかゴルドンが語り出すが、結局ゴルドンも海を見たことがあるわけでなく耳学問なので、オレとミワさんが説明することになった。ミワさん、本当にそんな経験したことあるのかい!って思うくらい盛って盛って話が富士山より高く盛られている。オレは海水浴とかってあんまり良い記憶がなくて、むしろマジッ○ミラーカーが水着ギャルをナンパしてきて、って方が印象強いんだが。


 そんな時、ズドン!!と盛大な音がして地面が揺れた。オレたちは音のした方に顔を向ける。オレはなんかの爆発か?どうせスティーヴィーがやったんだろう、と思ったが、マリヤ様たちはそうは思わなかったようで、

「また怖ろしい魔物が来たのかしら?」

「まだいるのでしょうか?」

「怖いわ」

 といろいろと言う。そこにもう一つ、ドン!と地響きがした。これは......スティーヴィーが起こしたものじゃないような気がする。スティーヴィーが討伐に行って、その時寝た子を起こしたしまったような気がするんだけど。寝た子が人間なのか、魔物なのか、いったい何だろうか?

 

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[気になる点] なぜそこでマジックミラー号 笑
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