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ヘビと戦う!

 ゆっくりと姿を現すケルベロス。こんなヤツがこの世界にいたなんて詐欺だろう?確か地獄の番犬とか言われなかったか?


「どっからケルベロスなんて呼んで来たんだよ」

 呟いたつもりが、オレの後ろに回って背中を掴んで震えているサリバンに伝わって、

「あれはケルベロスなんですか?もちろんタチバナ様は勝てますよね?」

 と聞いてくる。勝てそうな気がしないので黙ってしまう。頼むからそんなに服を掴まないでくれ!逃げれないじゃないか!?


 ケルベロスはこっちに顔を向けながら全体の姿を現す。予想通り尻尾は漆黒の毛に覆われ、先端にヘビの頭が付いている。そいつもこっちを見ている。頭が4つということは脳ミソも4つあると言うコトか?


 ケルベロスの3つの頭のうち、真ん中の頭が首をグルグル回している。あれは頭を3つも抱えていて肩が凝っているからか?胸がデカい女の人が肩こりひどいのと同じなのか?


 そんなロクでもないことを考えている時、

『Blast』

 唱えながらスティーヴィーが剣を振る。剣先からケルベロスに向かって業火の玉が発射される。ケルベロスは跳び上がり、それを避ける。その避けた所にスティーヴィーが詰め寄り、下から斬り上げる。ケルベロスの右の頭の顎先に剣が入り、血が飛び散る。


 そのスティーヴィーに向かって左の頭が炎を吐く。スティーヴィーは跳び下がり避けるが、そこに追い打ちをかけてもう一度炎を浴びせる。スティーヴィーはさらに下がる。


「手伝って!」

 スティーヴィーがケルベロスに向き合いながら、催促してくる。そうですよね、オレもいつまでも見学しているわけにはいかない。

「サリバン。オレも戦うからどっかに隠れてて。自分の身は自分で守ってくれ!」

 サリバンのしがみつく手を振りほどいて言う。

「えっ!?守っていただけるのでは?私、死んじゃいます!」

 サリバンが虫の良いことを言っても、オレは聞いてられないから、そこは無視してケルベロスに向かって走る。死んだら死んだ時だって。代わりのヤツはきっといるだろう。とにかくコイツをここで倒さないと、オレたちどころか、きっとジンたちまでも全滅だって。


 ケルベロスの真ん中の頭が右の頭の顎を舐める。すると光の粒が生まれ、キズが癒える。うわぁ、真ん中の頭は治癒する役目なんだ。左側は火を吐くと。右側もきっと攻撃するんだろう。

「ユィモァとスーフィリアを連れてくれば良かったよ」

 心ならずも愚痴が口をついた。

「そんなこと考えても、役に立たない」

 スティーヴィーがぴしゃりと言ってくる。


「左右から挟撃しよう!」

 スティーヴィーが叫んで右に跳ぶ。釣られてケルベロスの3つの頭が右を向く。ケルベロスが人の言葉を理解してたらどうするんだよ、と思いながらオレは左に跳ぶ。ケルベロスの左の頭だけがオレを追って左に向く。そして炎を吐いてくる。無理矢理だがオレを追従してきた。


『Defend』

 と唱え、炎を防ぐ。イチかバチかだったけど、確かに炎を防いだ。しかし、バリアがジリジリ消費しているのが分かる。が、防がれたと分かったからかケルベロスが炎の勢いを強めてきた。バリアが目に見えて、消耗してきた。

 さらにケルベロスの後ろに跳ぶ!左側の首が限界に来た!と喜ぶ余裕もなく、尻尾のヘビがオレに向き、唾を吐いてきた!それを辛うじて躱す。ヘビの唾って毒って定番じゃないか?ましてやケルベロスの尾っぽだし。


 ゴロゴロと転がったところにまた唾が飛んできて、石畳に当たりジュッ!!といって溶かす。これって強酸か?避けて正解だった。


 転がったときヘビの頭越しにスティーヴィーが見えた。右の頭は白い粒のようなモノを吐いている。氷?水?雷撃ではないようだ。オレがヘビの相手をしているので、犬の頭は3つともスティーヴィーの方に向いている。炎がスティーヴィーを襲う。バリアで防いでいる。


 と見ているとまたヘビに唾を吐かれた。

『Defend』

 と唱えたが、唾の当たった所が溶ける。まともに当たったらダメなヤツだ、これは!オレが正面から唾を防いだせいか、ヘビは頭を下げてバリアの下から頭を覗かせ唾を吐いてきた。スエーして辛うじて躱す。目の前を唾が通りすぎるのを見て、血の気が引く。毒がなくともヘビの唾なんてイヤだし。スエーのついでに下から剣を斬り上げてヘビの頭を斬ろうとするが、紙一重でかわされてしまった。スティーヴィーは犬の頭3つの相手をしているのにオレはヘビの頭1つに苦戦している。


『Fire』

 と唱えてヘビの頭に当てるが、魔力の練りが足りずヘビの頭は平然としている。ヘビの表情なんて分かるはずもないが、平然として舌を出し入れする。舌がペロペロなんて止めて欲しい、気持ち悪い。が、オレの気持ちが伝わるわけもない。ヘビの頭が急に伸び、目の前に迫る。

「ウワッ!?」

 慌てて避ける。剣がヘビの頭に当たったが、斬れない。鋼鉄に当てたような感触が手に残る。ならば!剣を手放し、剣の重みでヘビを切断!と思って剣を手放したが、剣の刃に添って滑るようにヘビが動き、剣は無情にも地面に落ちた!


 ヘビがそのままオレの足に巻き付く。そして鎌首を挙げる。絶体絶命!


 そのタイミングで、足に魔力を集中する。

『Die』

 効け!!

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