後始末をして大騒ぎ
「「「スティーヴィー!!」」」
「スティーヴィーさん!?」
突然倒れたスティーヴィーに驚いて、みんな駆け寄る。ミワさんがスティーヴィーの状態を見て、
「意識を失っただけみたい。よく分からないけど、大丈夫だと思うわ」
ただスティーヴィーの倒れた所が悪く、血だまりの中に倒れ込んだ。
「マモル様、どこかキレイな場所に移してくださいな」
ミワさんの言うままに、スティーヴィーを抱き上げて草むらに移す。顔が血だらけになったスティーヴィーにミワさんが『Clean』を掛ける。みるみるうちに汚れが取れていくスティーヴィー。
「やっぱりスティーヴィーはキレイな子ね」
「そうね、言われなければ美少年だもの」
「残念です。もし殿方であれば......」
最後のはスーフィリアの発言。
「いつも男と間違われるなんてかわいそうね」
ミワさんがまともなことを言う。
「決めた!」
モァが突然立ち上がり宣言した。何を決めたんだろう?
「スティーヴィーを普通にしゃべれるようにするの!今のままじゃ、この世界で生きていけないわ!ねっ、そうでしょユィ!!」
指名されたユィは、ちょっとキョドりながらも、
「うん、そうだね。頑張る!スーもね!」
と回せばスーフィリアは、
「お任せください!」
と胸を叩く。ま、この3人に任せておけばなんとかするだろう。
さて、この転がっている死体をどうするのか?武器だって飛散している。集めて売ろうかと思ったけど、転移してきたであろうヤツのもっている弓がなかなか良さそうだ。これは売っても高そうな気がする。スティーヴィーは剣がスゴいけど、もしかしたら弓も使えるかも知れない。あの運動能力を見ると、何をしても人並み以上にこなしそうな気がするんだけど。剣だってレイピア使っていたけど、普通の剣の方が威力あるのように思える。神の加護のかかったレイピアということなら別だが、もっと良い剣を捜してみようか?
死体はとにかく燃やす。獣の餌にすると人の味を覚えてしまうから、埋めるか燃やすかなんだけど、燃やす方が手っ取り早いので燃やしてしまう。
今日はもう移動することは止め、ここで野宿することにした。次の村までの距離が分からない。それなら明日の朝イチに出発することにした。
ミワさんのところに戻ってみると、スティーヴィーが起きていた。ただし、また泣いている。ポロッポロッと涙をこぼしている。
「ミワさん、スティーヴィーはどうしたの?」
ミワさんは首を傾げて、
「どうも気を失っている間に、好きな人のところに行って来たみたい。ロビィ様と会ってきた、と言ってるわ」
「スティーヴィーって、そんな前の世界の人に会いに行けるのか?」
「良く分からないけど、行けるみたいよ。きっと、転移するときに神様から約束してもらったんじゃないのかな」
「えーー!?そういうの約束してもらえるのか?オレはそんなこと、思いもしなかったけど」
オレが言うとミワさんも頷いて、
「私もそうです。思いつきもしませんでした。それにしても、この子はよく思い付きましたよね。よっぽど前の世界で好きだったんでしょうね」
オレたちがスティーヴィーそっちのけで話をしていると、
「今も好き!」
スティーヴィーの叫びにみんなが集まって来た。
「起きたの?」
「目が覚めた?」
「大丈夫?」
口々に質問するから、スティーヴィーは1人づつ顔を見て、どの質問に答えれば良いのか?って顔をしている。で結局黙ったまま、何も言わない、
「ねぇ、あなたって何才?」
とモァが聞くと、
「じ、じゅう、17才、もうすぐ」
「もうすぐって、誕生日が近いの?」
「そ、そう」
「いつ誕生日?」
「え?あの、あ、あれ?いつだったんだろう?......分からない、すぐ近くだったと思うけど......ロビィ様と一緒に、お祝いするはずだったのに......あれれ?」
スティーヴィーが少し喋るようになってきた。
「ロビィ様ってどんな人ですか?教えてください」
スーフィリアが質問する。やっぱりスーフィリアも興味あるんだ。
「カッコイイ!すごく!それにキレイ!とっても美しい。物語の主人公みたい!」
スティーヴィーの賛美がスゴい。
「ロビィ様とスティーヴィー、どっちが女の子にモテるの?」
とユィが聞くとスティーヴィーはちょっと考えて、
「私?」
「ほら!」
「やっぱり!」
「そうよね!」
3人が口を揃える。
「ねえ、スティーヴィー、ちょっと立って見て。そしてさっきみたいにレイピアを構えてみて」
モァが言うと、どうしてそんなことするの?という顔をしてスティーヴィーは立ち上がり、レイピアを抜き放つ。
「「「キャーーーー!?」」」
3人娘の悲鳴が上がる。
「ミワさん、おかしいよね。こんなの」
とミワさんに聞くと、
「ちょっと!黙ってて!!」
ミワさんに叱られるオレ......真剣な目でミワさんもスティーヴィーを見ている。
「ほら、スーが真っ赤!」
モァがスーフィリアを指差して言うと、スーフィリアは目を丸くして、真っ赤な顔をしている。
「そ、そ、そういうモァ様だって、顔が赤いです!」
スーフィリアが言うとモァは、
「わ、わたしより、ユィが、ほら!!」
ユィのほっぺを引っ張りながら言う。ユィはほっぺを引っ張られて痛いはずなのにニコニコ笑っている。スティーヴィーは女なのに見た目が良ければイイのか?これって宝塚と同じ状態なのだろうか?
スティーヴィーは3人の娘と1人の女からキャーキャー言われているのに平然としている。
「スティーヴィーはこんな状態でなんにも思わないの?」
と聞いてみたら、
「うん、慣れてる」
と一言。
そう慣れているのね。それを聞いた3人娘が、キャーーと言いながら、
「やっぱり、どこの世界でも女子の美意識って同じなんだよ!」
「だって、キレイなものはキレイなんだもの!」
「そうです!!間違いありません!」
と力む。加えてミワさんも、
「だって、見飽きるってことないもの!」
とまで言う。あのですね、スティーヴィーはため息ついているんですけど。そりゃね、オレは見て飽きるタイプですから。




